平成20年第3回定例会(第3日 6月11日)

相崎佐和子(1回目の発言)

皆さん、おはようございます。朝一番ですので、元気よくまいります。 
 ただいま議長より発言の許可をいただきましたので、通告に従い質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 
 1つ目の質問は、職員の人材育成についてです。 
 現在の社会情勢下において、公務員制度改革の必要性が声高に叫ばれております。公務員は、これまで終身雇用制、年功序列制なる2大特徴をベースに安定した雇用体制のもと、日本の発展に寄与してこられました。しかし、日本は不況の時代に突入し、現在も景気向上の兆しはうかがえるものの、依然予断を許さない状況です。そんな中、国や地方自治体も行財政の運営改善が不可避となっており、公務員においても能力給の導入など抜本的なあり方の見直しが迫られています。 
 先日も、参院本会議で、国家公務員制度改革基本法が賛成多数で可決成立したばかりでございます。そんな公務員制度の改革、伊丹市においては、職員の人材育成について、これまでさまざまな取り組みが推進されてきました。個人的にも議員になって1年、多くの職員さんとかかわり、お話をさせていただく中で、また以前に勤務しておりました兵庫県庁での印象から、公務員の方々は、皆誇りとプライドを持って真摯に住民サービスに寄与しておられるとの印象を抱いております。世間では、とかく公務員は批判の対象になる風潮がなきにしもあらずですが、必要以上の公務員バッシングには私も違和感を覚える次第です。 
 ただ、私は、民間企業での業務やフリーでの活動も経験しており、それらを考慮しますと、当市の職員人材育成に関しても、さらなる改善点や新たな有効手段もあるように感じるところです。また、ほかの自治体の先進事例を調査しますに、当市でも導入検討したい取り組みを見出すところです。そこで、今回このテーマをピックアップしました。当市の職員人材育成において充実を願っての趣旨でございますので、御理解ください。 
 さて、伊丹市では、職員の人材育成について伊丹市人材育成基本方針なるものが策定されています。まず、この方針を確認いたします。 
 この方針は、新しい時代における人材育成の指針として平成13年7月に作成されました。これに基づき、これまでOJT研修など一定の人材育成が推進されており、評価できるものであります。しかし、一方で3点の課題を見出すこともできます。 
 まず1点目の課題は、進捗状況です。方針の具体的方策の中には、「今後実施に向けて検討する」というものが多数ございます。つまり平成13年の時点では、「今は実施するかどうかは未定だが、有効性は認識しており、今後検討していく」と読み取れるものが多数存在しているのです。現在は平成20年。8年の歳月が流れた今、方針の進捗状況を確認すべき時期なのではないでしょうか。何が達成できて、何が達成できていないのか、ここでいま一度整理すべき必要があります。PDCAマネジメントサイクルでいうところのC、チェックを実施して、A、アクションにつなげる時期であります。 
 そして、方針の2点目の課題は、軌道修正です。方針には、「社会情勢の変化に対応して、内容についても適宜見直しを進める」と明記されています。作成から8年の歳月が流れ、社会情勢も大きく変化している中、内容の軌道修正は不可避でありましょう。ちなみに阪神近隣市では、当市と同じ平成13年に方針作成した宝塚市は、3年前の平成17年に改正を実施済みです。やはり同時期作成の尼崎市は、来年度改正を目指して現在、職員ヒアリング中とのこと。また、川西市や猪名川町でも、「改正の必要あり、検討中」との回答でありました。 
 方針の3点目の課題は、情報の公開です。方針には、「進捗状況を常に公開する」と明記されています。しかし、現状は、職員にも市民にも進捗状況の公開は十分とは言えません。職員の情報共有ツール、「ふれi−Net」や市のホームページでの公開も含め、工夫が望まれるところであります。以上、まずは伊丹市人材育成基本方針について3点の課題を申し上げました。 
 そこで、伺います。この方針の進捗状況、内容の見直し、情報の公開について、現状と今後の方向性をお聞かせください。 
 次に、職員の人材育成について具体的な提案に移ります。新規・拡充を合わせ6点申し上げます。 
 1点目は、勤務評価制度の拡充です。私は、民間企業に在籍をしておりました際、この勤務評価制度を経験しており、そのメリットが強く印象に残っております。内容は、半期ごとに業務内容などの目標を自分自身で設定して、それを書き出したシートをもとに上司と綿密な面談を行うという形態でした。自分自身で目標を設定することで、業務の改善点や方向性を明確化することができ、モチベーションがアップしたとともに、面談は上司との格好のコミュニケーションの場でありました。上司にとっては、部下に仕事内容や姿勢を改めて指示できるというメリットがあったようです。 
 翻って伊丹市の勤務評価については、昭和56年度から全職員対象で勤務評価の制度を実施中とのこと。具体的には、上司が部下を勤務評価し、その結果は各職員には知らされないという片方向のシステムであります。加え、平成16年からは課長級以上を対象にチャレンジ目標制度を導入し、平成19年11月からはさらに充実をさせています。この新しい制度は、おのおのが自己評価を行い、それに基づいて上司と面談をするという双方向の制度と伺っています。この課長級以上に実施中の双方向での制度を全職員に拡充できないものでしょうか。自身で目標を設定し、上司との面談もきめ細かく実施をすることで、全職員のセルフマネジメント能力が高まります。前向きな検討を望むところです。 
 そして、2点目の提案は、能力給導入の検討です。国において平成13年、公務員制度改革大綱が閣議決定され、メーンテーマに能力給の導入が掲げられ、18年の一部改正ではさらに強調されました。先ほどの伊丹市の課長級以上の勤務評価制度は、能力給の導入も視野に入れた試行段階のものと伺っています。能力給の導入は、実際、評価基準のあいまいさ、市民サービスへの影響などからハードルの高い課題でありましょう。しかし、現在の社会情勢や実情をかんがみるに、検討は避けて通れません。減点法でなく加点法で、職員のモチベーションをアップするような能力給導入の検討を望むところです。 
 そして3点目は、経験者採用の実施であります。職員採用に目を向けますと、例えば兵庫県では、例年、経験者採用を実施しており、対象年齢は28歳から34歳だそうです。私は、県庁勤務時代にこの採用枠で入庁された職員さん方とも多くかかわりましたが、固定概念にとらわれない、フレキシブルで柔軟な思考を持った方が多く、経験者採用の有効性を直接実感していた次第です。経験者採用は、優秀な人材の確保、民間企業のノウハウと発想の活用、全体の活性化など多大なメリットがございます。また、職員の年齢分布のゆがみを是正するのにも有効ですし、また男女共生の視点から申しますと、幹部候補の優秀な女性を確保できる可能性もございます。 
 伊丹市においては、平成16年からの3カ年、28歳から35歳までの民間企業等職務経験者をIT・企業財務・経営改善に特化して採用し、7名が入庁されたと伺っています。しかし、職種を限定しない経験者採用というのは実施をしていないということです。ちなみに阪神間では、尼崎市が2年前まで34歳から40歳を対象に経験者採用を実施しております。申しましたメリットをかんがみ、伊丹市でもぜひ実施をお願いしたいところです。 
 そして、4点目の提案は、採用年齢制限の引き上げであります。伊丹市の今年度、職員採用枠において、大学卒事務職の対象年齢は、昭和54年4月2日以降に出生、つまり入庁時に29歳以下となっております。阪神間では、宝塚、尼崎、そして伊丹が一番高い上限の29歳であり、伊丹市は数年前に25歳から引き上げている点から一定評価はできるものの、例えば、しかし、教員採用試験の世界においては、全国的に年齢制限の撤廃、または上限の引き上げの傾向が強まっており、兵庫県では今年度から年齢上限45歳になり、近畿では、和歌山県などは年齢制限が撤廃されています。団塊世代の退職に伴う新規採用数の増加は理解いたしますが、若い世代のみでの人数補充は、再び年齢層のひずみを生じてしまうことになるのではないでしょうか。 
 また、別の視点から申しますと、現在の25歳から35歳は、朝日新聞命名するところのロストジェネレーションであり、不況の時代に就職時期を迎えた世代です。そもそもの人数が多いこの世代は、不況の就職難と相まって才能を持ちつつも能力を発揮できる状況にない人が少なくありません。また、既にいろいろな場で活躍中であっても、転職に関して柔軟かつ前向きな意欲を持つ世代であります。人材の宝庫とも言われるこの世代に目をつけない手はありません。伊丹市はこの年代の職員数が少ないという事実もあわせて、職員採用試験の年齢制限の引き上げを望むところです。 
 5点目の提案は、民間企業への研修であります。御存じの方も多いかと思いますが、数年前に「県庁の星」という映画が話題となりました。エリート県庁職員が研修で1カ月間スーパーマーケットで勤務をして、いろいろなことに開眼していくというようなストーリーでしたが、映画はヒットして、原作本もベストセラーとなりました。ヒットの一因は、フィクションながらも、ある種のリアリティーがあったからではないでしょうか。映画の影響かは存じませんが、実際に職員の民間企業研修を導入している自治体は少なくありません。伊丹市においても、平成16年にジャスコ伊丹店、17年にイズミヤ昆陽店にて民間企業研修を実施し、課長・副主幹級の10名が3日間ずつ参加したと伺っています。ただ、現在は、効果が不明瞭であった点などから休止状態です。 
 この民間企業研修は、民間ノウハウ取得のみならず、外部環境に身を置くことでの意識改革が見込め、メリットの多いものです。そこで、研修日数の検討、研修後の成果発表の場の創設、また対象者枠の拡充、研修修了者に対する人事面での連動などを含め、改善した上での再開を望むところです。 
 そして6点目は、市長と職員のトークであります。トップと職員の対話というのは、申し上げるまでもなく効果的であります。これもほかの自治体で多く見られる取り組みであり、例えば東京の三鷹市では、少人数の職員と市長が懇談をするトークセッション研修なるものがこのたび全職員との対話を達成したとのことです。当市では、市長選も控えており、早急な実現は困難かとも思いますが、ぜひ視野に入れていただきたい取り組みでございます。 
 以上、申し上げましたが、まず伊丹市人材育成基本方針についての課題3点並びに具体提案6点の見解についてお教えください。 
 続いて、2つ目の質問に移ります。フィルムコミッションの整備でございます。 
 ここ近年、兵庫県では、映画のロケ撮影が相次いでおります。まず「火垂るの墓」です。野坂昭如原作の戦争の悲惨さを描いた物語で、スタジオジブリ制作のアニメ映画にもなりましたが、今回、実写版で映画化されることになり、昨年、オール兵庫県ロケで撮影が実施されました。ことし夏に全国公開であります。また、「0(ゼロ)からの風」という映画もことし春より上映中です。田中好子さん主演のドキュメンタリー映画で、西宮市が働きかけ、阪神西宮駅などで撮影が行われたそうです。ほかにも多くの映画、またテレビドラマやCMが近年、兵庫県の各地でロケ撮影されています。ことしも、既に3本の映画が県内でロケを決定しています。 
 なぜこれだけのロケ撮影を実現させているのか。そのかぎの一つがフィルムコミッションであります。このフィルムコミッションとは、どういうものか。これは映画やテレビドラマ、コマーシャルなどのロケ撮影を誘致し、実際の撮影の際には、さまざまな手段で支援をするという組織の名称であります。実際には、ロケ候補地を広く紹介したり、各種許可申請の代行をしたり、実際の撮影の際には宿泊先を手配したり、時には市民エキストラ出演の手配などを行います。運営を担うのはさまざまですが、多くが自治体の担当部署、また商工会議所、観光協会、また民間団体などが担っております。 
 フィルムコミッションは、世界において41カ国307団体が存在し、日本では平成12年に大阪で発足したのを契機に、ことし3月時点で103団体存在しています。兵庫県内においては、6団体のフィルムコミッションがあります。神戸のフィルムコミッションは草分け的存在で、1000本近くのロケを敢行、また姫路のフィルムコミッションは、映画「ラストサムライ」など400本以上のロケ誘致に成功しています。ほか淡路、丹波篠山、城崎にそれぞれフィルムコミッションが存在しています。ちなみに現在、日本で撮影されている映画の7割は、各地のフィルムコミッションを利用しているとのことです。 
 このフィルムコミッションのメリットは何か、大きく5点ございます。 
 1点目は、直接的な盛り上がりです。単純にロケ撮影が実施されれば、地域は盛り上がります。市民エキストラ募集や、また市長表敬訪問、先行上映、出演者舞台あいさつなどの可能性もあるそうです。また、撮影スタッフや出演者の飲食代や宿泊費から成る経済効果も望めます。 
 2点目のメリットは、間接的な活性化です。ロケ撮影実施により無名の地域も知名度がアップし、メディアに登場する回数がふえ、観光客などの交流人口が増加する可能性があります。それによる経済効果も見込めます。 
 3点目のメリットは、さらなる波及効果です。ロケ撮影が実施されることにより、地域住民が地元の魅力、すばらしさを再確認するきっかけとなり、またつながりのなかった人同士のネットワークが構築され、新たな地域活性化策が育成される契機になります。 
 4点目のメリットは、情報発信ルートの広がりです。ロケ候補地を紹介することは、映画のみならずテレビや新聞、雑誌など、さまざまなメディア媒体がその情報を利用します。実際テレビ番組のディレクターから番組制作の際、各フィルムコミッションの情報を大いに参考にすると聞いたこともあります。映画のみならず、さまざまなメディアへの情報発信になります。また、各媒体とコネクションができ、ネットワークが広がります。その後の情報発信をより効果的に実施できる活路が広がります。 
 5点目のメリットは、巨大な設備や財政の投資が不必要ということであります。このようなことを踏まえ伊丹市を考察しますに、かつては劇場都市伊丹として、独自に伊丹映画祭などを実施し、市内でのロケ上映を敢行していたこともございましたが、現在は当該事業は存在せず、一般映画のロケ撮影はここ数年実施されておりません。そして、当市にはフィルムコミッションは存在をしておりません。 
 そこで、伊丹市でも改めてフィルムコミッションの整備を提案するものであります。効果のほどは、先ほど申し上げましたとおり、地域活性化、知名度アップ、経済効果、住民意識の向上、新たな地域振興、各メディア媒体へのPRとネットワーク強化などが挙げられます。逆に懸念点は、まず伊丹市では、ロケ候補地たる場所に乏しいのではないかということですが、しかし、だれもが知る有名観光地なら改めてフィルムコミッションで紹介する必要性は薄いわけで、当市の場合、昆陽池、バラ公園、スカイパークなど、全国的な知名度となると若干苦しいものの、ぜひPRしたいスポットが多い当市は、フィルムコミッション導入にうってつけだと考えます。 
 また、伊丹市を観光地として大々的にPRする必要性があるのかということですが、あくまで伊丹市は住宅都市として、福祉、教育、医療などの住民サービスが充実する都市との路線を変更する必要はないと考えます。ただ、先ほども申しましたメリットが見込め、大きな設備や財政の投資も不必要なのであれば、フィルムコミッションが存在しているにこしたことはないと考えます。以上申しました観点に基づき、当市においてもフィルムコミッションの整備を提案します。 
 では、具体的な方法でありますが、2段階で進めればと考えます。 
 まず1段階は、兵庫県のフィルムコミッションに加盟することです。実は兵庫県には、ひょうごロケ支援Netというフィルムコミッションが存在します。「火垂るの墓」の撮影を契機に平成18年に設立され、事務局は兵庫県産業労働部観光局観光振興課に設置されています。このひょうごロケ支援Netには、県内のフィルムコミッション5団体のほか34の市町が名を連ねています。加盟していないのは5市町のみで、そのうちの1つが伊丹市なのです。加盟において市の負担金はゼロです。業務的には、ロケ候補地を写真と文章で整理するのみです。このひょうごロケ支援Netは、単独でフィルムコミッションを立ち上げずとも、県内で一括してPRできるメリットがあります。ぜひ伊丹市でも加盟申請を行い、ロケ候補地を整理してはいかがでしょうか。 
 そして、第2段階は、伊丹市独自のフィルムコミッションの立ち上げです。県のフィルムコミッションに加盟して状況を整備した後、市独自の設立にステップアップしたいところです。運営を担う機関は、ほかの事例ですと自治体や商工会議所、観光協会、財団法人などであります。どこが伊丹市の場合、事業主体となるかは、状況を加味しての検討が必要でありましょう。文化振興財団が担うのも一つかと考えます。 
 そして、さらなる発展形として民間団体が運営を担うのが理想であります。既存の団体に移行するか、活動に意欲を示す人を発掘して、新団体を発足できればと考えます。民間フィルムコミッション運営の担当者さんに伺うと、映画好きなどフィルムコミッション活動に興味や意欲を抱く人は多い。そのような人材の発掘がフィルムコミッション設立のかぎとも伺いました。 
 なお、フィルムコミッションの経費については、県内のフィルムコミッションのうち規模の大きい神戸、姫路を除く3団体に伺いますと、いずれも年間10万から30万の予算措置でありました。最小の活動形態なら、予算措置は数十万円で可能との旨でありました。 
 以上、申し上げてまいりましたが、これらに関して、当市の見解と今後の方向性をお教えください。 
 以上で1回目の発言を終了します。 


総務部長(答弁)

私から、職員の人材育成に関しての議員御指摘の3点の課題の現状と今後の方向性6項目の御提案に対する見解とお尋ねにお答えをいたします。 
 まず、公務遂行における公正性・公平性、継続・安定性という職務上の責務と身分上の義務、そしてたゆまざるサービス向上と費用対効果の追求といった地方自治の本質に根差した対応、さらに地方主権の時代にあって、行政需要の多様化を初めとする環境の変化に機敏に対処できる能力、働き方が強く求められているものと認識をしております。こうした観点に立って、職員の処遇も含め、人材育成に努めているところでございます。 
 まず、議員御指摘の伊丹市人材育成基本方針に関してでございますが、平成13年7月に人材育成の理念と具体方策を体系的に整理し、策定いたしました伊丹市人材育成基本方針は、職員一人一人の個性を尊重し、能力を適正に評価していくことを定めておりまして、財源など限られた財源の中で職員の士気を確保しつつ、風通しのよい職場風土の中で、みずから考え、行動できる力、そうした質の高い職員の活力を引き出していく、そういうことを目的としたものでございます。 
 この人材育成基本方針の進捗状況、具体的な取り組みでございますが、自発的に研究する、業務改善にチャレンジする、新たな事業の提案を受け、実際にその事業に取り組んでいくといった職員の主体性、やる気を生かしていくための研修制度や提案制度を構築し、その拡充、充実を図っております。 
 また、職員が自立した職業人として、自己決定、自己責任により、生き生きとやりがいのある仕事をしていくために、自己の長期的な職業生活をデザインして、やりたい仕事につくために必要な職務遂行能力をみずから身につけることを目的とするキャリアデザイン研修を平成17年度から実施しております。 
 この方針を定めて以来、7年が経過しようとしておりますが、この間、数々の新たな制度を構築してきたことや、庁内LANの整備や再任用制度の実施に伴う職員構成の実態変動など職務環境は想定以上に大きく変化、変動していることを踏まえますと、それらの整理を行う一方、現時点での再任用職員や非常勤、臨時的任用職員をも含めた全体の組織としての新たな取り組みを検討していく必要があると考えております。 
 こうしたことから、人材育成基本方針につきましては、議員が課題として御指摘のように、その進捗状況も含め検証を経た上で、今日的かつ将来を見通した見直しを行う必要があり、また職員や議会を初め、市民の皆様に対する情報公開のあり方や手法など具体に研究・検討してまいります。 
 次に、具体的方策の6項目の御提案についてでございますが、まず勤務評価制度の拡充、そして能力給導入の検討ということでございますが、この新たな人事評価制度の導入は、公務員一人一人の能力を最大限に高め、効果的・効率的な行政サービスを提供することを目標に、平成13年12月、公務員制度改革大綱が制定され、それを契機に全国各地でそうした取り組みが開始されています。 
 国においては、平成17年度の人事院勧告で、まず国家公務員の給与制度の抜本的な構造改革が勧告されました。この中で、給料表自体を細分化して、勤務成績に応じて昇給幅に合理的な差を設けるといった新しい人事評価制度の枠組みが創設され、対象者の拡大など試行を繰り返し実施をされておられます。現在、国においては第3次試行の段階で、専門職種等に対する評価項目の妥当性の検証等を実施しているということでございます。 
 議員御指摘のように、本市におけます勤務成績評定制度は、昭和56年9月から毎年実施をし、昇任、昇格等に係る勤務成績の実証の一つとして活用してきたところでございます。また、平成16年度から18年度まで、課長級以上の管理職を対象としたチャレンジ目標制度を実施してきてございます。こうした経緯や今般の地方行政を取り巻く環境の変化等を踏まえ、昨年11月15日に課長級、次長級の管理職を対象に、従来の勤務評定書の様式を変更し、新たな人事評価制度の試行を実施をいたしてございます。 
 この新たな人事評価制度は、職務行動と役割達成状況を自己評価も含め評価・評定していくこと、そして評価者と被評価者の面談を盛り込み、おのおのの説明責任を明確に担保した制度としたことが大きな特徴でございます。いわば人事評価型から人材育成型へ移行した内容に変更をいたしております。現在、その集計と結果の分析を行っているところでございまして、今後は面談での状況に関する個別のヒアリングや全体に対してのアンケート調査を実施しながら、評定書の問題点や課題の把握を行いたいと考えております。 
 また、評価対象者の拡大を行い、給与制度、能力給とどのように反映していくのか。今回の試行結果の反応を分析しながら、国の試行結果や他の地方公共団体の状況も見きわめ、御意見をお伺いしながら引き続き慎重に検討していきたいと考えております。 
 次に、経験者採用の実施についてでございますが、平成16年度から3年間、「システム開発、システム運用等、IT化を推進できる人材」としてIT関連企業のシステムエンジニア経験者など、また財務・経営分析、経営改革、資金運用のできる人材として銀行や経理会社等における財務・経営分析等の経験者を対象として、いずれも正社員経験が5年以上の人を対象に募集し、採用しております。これら民間企業等職務経験者の採用により、即戦力として民間企業等で培った経験と実績を生かすなど一定、所期の目的は達したのではないかと考えております。平成18年度をもって終了いたしておりますが、今後とも資格技能や職種も含め、そうした必要性も研究してまいります。 
 次に、採用年齢制限の引き上げについてでございますが、これまで10数年間は受験資格の年齢要件としては、大学卒で25歳、修士修了で26歳、博士修了で28歳で推移しておりましたが、本年度の職員採用から、より優秀な人材確保や経験者採用ということからも、採用年齢につきまして大学卒で3歳緩和し、修士修了、博士修了の区分も廃止し、一律28歳までといたしております。また、技術職につきましても、採用困難職種である建築職及び言語聴覚士につきまして35歳まで、その他の職種については、おおむね30歳までに引き上げております。 
 この結果、本年度採用いたしました職員は、約3分の2が民間企業等の経験を有する職員となっております。今後も、市職員全体の年齢構成や組織維持などの人事管理面、民間企業の動向や公務員に対する応募者数など、広く人材を確保できる社会的環境面、行政ニーズに対応した人材を確保する人事政策面などを判断しながら決定してまいりたいと考えてございます。 
 次に、民間企業研修の実施についてでございますが、議員御指摘のように、接遇関連研修の一環として、CS(顧客満足)意識の向上を図るため、平成13年度から平成17年度まで民間接客体験研修を実施し、現在はCS研修として窓口職場等を対象に2日間、ビジネススクールの外部講師を招いて集合研修を実施しておりますが、それぞれを検証しながら、よりよい接遇、住民満足の向上のための手法をいま一度検討してまいりたいと考えてございます。 
 最後に、市長と職員のトークについてでございますが、市長決裁時などはもとより、市長みずからが職場を訪問し、窓口担当者を初めとする職員一人一人とひざを交え、フランクに意見交換し、市政の最前列で職務に励んでいる職員の意見や提言、また来庁された市民から寄せられた率直な市政に対する意見等を施策展開や事務事業に生かすとともに、組織、職場の元気発信、活性化のために全職場を対象に継続実施をいたしてございます。 
 今後とも、職員のやる気の醸成、組織の活性化のため、ひいては市民サービスの向上とより以上に地域が元気になるため、有機的な人材育成に取り組んでまいりますので、御理解のほどよろしくお願いを申し上げます。以上でございます。 


都市創造部長(答弁)

それでは、2点目のフィルムコミッションの整備の御質問についてお答えいたします。具体的かつ熱心に御提案、御質問いただきましてありがとうございます。厚く御礼申し上げます。 
 まず初めに、フィルムコミッション整備の意義についてでございますが、御質問にありましたように、現在、我が国には全国フィルムコミッション連絡協議会に加盟しております公的なフィルムコミッションが約100団体ございます。その4分の3は単独、または複数の市町村が、みずから、もしくは観光協会、商工会議所、商工会など関係団体とともに設立しており、4分の1は都道府県やその関係団体を中心として設立されております。 
 フィルムコミッションの設立には、御質問にございましたような幾つかのメリットがあります一方で、フィルムコミッションとしての活動を開始するに当たっての条件整備が必要になってまいります。大きな設備や投資が必要でないことは御指摘のとおりでございますが、映画やテレビドラマ、コマーシャルなど映像制作者の意図を酌んだ候補地の紹介、ロケ候補地探索依頼への適時・的確な対応を初めまして、ロケ撮影地の地形、気候などの撮影条件のほか、宿泊、食事、機材の手配や各種許可申請などの情報提供や相談、ロケーションハンティングや撮影に立ち会う必要性が生じますことから、専門知識やノウハウ、また当該業界とのネットワークの相当な蓄積が必要となってまいります。このような知識や情熱をあわせ持ちました人材を一定数確保し、組織的に取り組むことが最大の課題であると認識しております。 
 続きまして、2点目の整備の具体策についてでございますが、御質問にありましたように、兵庫県では、多様な資源を活用したツーリズムの振興に重点を置かれ、その一環としてフィルムコミッションの整備に力を入れておられます。そのため、御質問にございましたように、平成18年8月に県の観光振興担当課を事務局に、県内の市と町、7つのフィルムコミッションやその準備会、ひょうごツーリズム協会が協力・連携する県全体のフィルムコミッションであるひょうごロケ支援Netを設立しております。 
 先月の22日に、設立以来初めて県内すべての市と町に声がかかりまして、その支援Netの推進会議が開催されましたので、本市におきましても会員として参加を検討するために出席し、その活動状況等の情報収集に努めたところでございます。阪神地域7市1町の同支援Netへの加盟状況は、この3月までは、宝塚、西宮の2市のみが会員でございましたが、今回の推進会議を機に芦屋、三田の両市が加盟を表明し、本市を含みます3市1町が検討中となっております。 
 この支援Netへの加盟につきましては、まず1つ目に、県予算で制作し、運営しておりますホームページやガイドブック等を活用することで経済的に情報発信ができること。2つ目に、県の事務局や会員のフィルムコミッションの知識、経験が利用できること。3つ目に、旅行誌の編集長や旅番組のプロデューサーなどへの働きかけに県内全域で臨めますために、映像制作者からの多くのロケ候補地の紹介や相談が期待されますこと。4つ目に、全国フィルムコミッション連絡協議会へその支援Netとして加入しておりますので、全国レベルの情報提供が期待されることといったような利点がございます。また、現時点では、会費等の費用負担が不要であることから、先ほども申し上げましたとおり、その同支援Net推進会議に出席するなど、参画していく方向で検討を進めているところでございます。 
 次の伊丹市独自でのフィルムコミッションの設立についてでございますが、本市の現状から判断いたしますと、現時点では人材と予算をかけ、体制を整えて独自の組織を立ち上げるには、まだまだ検討課題が多いのではないかと考えております。まずは、このひょうごロケ支援Netへ参加しましてノウハウを習得・蓄積し、その活用に取り組んでいくことといたしまして、その後、阪神北地域や阪神間あるいは空港を挟みました大阪府側の地域なども視野に入れました広域の取り組みや、また市独自の取り組みの可能性も含めまして今後の課題と考えております。以上でございます。 


相崎佐和子(2回目の発言)

御答弁ありがとうございました。 
 まず、2点目のフィルムコミッションの整備から申し上げます。御答弁は、まず兵庫県でのフィルムコミッションに加盟し、ノウハウを習得・蓄積していくとのことでしたが、私もまずはそれでよいかと考えます。繰り返しますが、私は、伊丹市を観光地として大々的にPRするというよりは、住宅地として福祉や教育などが充実した都市を目指すとの路線を変更する必要はないと考えます。フィルムコミッションの整備に関しても、伊丹市にどんどん映画撮影を誘致しろと申しているのではなく、目的は地域の活性化や新たな地域振興、また情報提供媒体の充実や各メディアとのネットワークの強化でありまして、これらは伊丹市にとって多大なメリットになると考えます。熱意のある人材の育成や発掘を進めて、市独自のフィルムコミッション整備に向けて積極的に推進していただくことを要望いたします。 
 次に、1点目の質問の職員の人材育成についてでありますが、方針について、改正は、申しましたとおり、同時期に作成した宝塚市は平成17年度に改正済みで、尼崎市も来年度改正予定であります。伊丹市でも早急に具体的な動きにこまを進めていただきますようにお願いいたします。その際には、庁内でワーキングチームを作成し、検討を進めるのも一つかと考えます。いずれにしましても、職員さんの意見が十分に反映され、かつ現在の、また将来の社会情勢をかんがみた改正を進めることを望みます。また、方針の情報公開についても、職員、そして市民が十分に把握できる形態の整備をお願いします。 
 具体的方策の提案につきましては、まず経験者採用、採用年齢の引き上げに関して、当面は予定がないということで、少し残念であります。年齢の引き上げにより3分の2が民間企業経験者とのことですが、さらなる年齢層の広がりが欲しいところであります。ぜひこれも前向きに検討を進めていただきますようにお願いします。 
 民間企業の研修については、実質的な効果はもとより、外部の環境を体験するという抽象的・間接的ではあれども、大きな効果を含むものだと考えます。実際に民間に研修に行くのは余り気乗りのしないものであるかもしれませんが、もろもろ効果は大きいところかと考えますので、お願いします。はかりにくいという効果の検証は、工夫次第だと思います。 
 そして、1点改めて伺います。勤務評定に関しまして現在、試行段階である双方向の人材育成型の評価を全職員に、またさらには可能であれば嘱託職員さんやアルバイトさんにも拡充してほしいところですけれども、見解と方向性はいかがでしょうか。評価対象者の拡大を検討等々の御答弁をいただきましたが、もう少し具体的にお教えいただければと思いますので、よろしくお願いします。


総務部長(答弁)

人事評価制度、勤務評定制度に関する2回目の御質問にお答えを申し上げます。 
 勤務評定制度なり人事評価制度とその結果の反映というのは、特に公務の特性からは非常に大きな課題でありますし、困難課題という認識をしておりますが、現下の状況でありますとか人材育成という観点からは、喫緊に取り組むべきものだというふうに認識をしております。そうしたことで、先ほど本市の勤務評定制度の沿革でありますとか、現在の取り組み、今後の方向性について御答弁をさせていただきました。 
 昨年度実施をいたしました新たな人事評価制度の試行は、次長級、課長級に限定したものでございました。今後は、現在、勤務成績評定、制度として行っております、全職員について、新たな人事評価制度に準じたものとして評定書の様式変更等について検討を行ってまいりたいというふうに考えております。 
 実態的に対象の拡大を行ってまいりたいというふうに考えておりますが、新たな制度の枠組みでありますとか、この試行実施の検証を経て、特に給与制度とリンクをさせる方向からも、より慎重に、かつ市職員労働組合とも協議をするなど、さまざまな場での御意見なども伺いながら確立してまいりたいというふうに考えておりますので、御理解いただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。 


相崎佐和子(3回目の発言)

自席から質問させていただきます。 
 御答弁ありがとうございます。伊丹市が職員の人材育成という点に関しまして熱心に推進されていることは十分に理解しておりますが、先ほどの勤務評定制度、能力給との連動というのは、なかなかすんなりとは進まないという御答弁もありましたけれども、内容のシートの充実ということも含めて検討していただけるということでしたので、よろしくお願いします。 
 また、ほかにも申しました経験者採用や採用年齢制限の引き上げ、民間研修などもぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。要望といたしまして、発言を終了させていただきます。


以上