平成20年 第4回定例会(第4日9月19日)
相崎佐和子(1回目の発言)
ただいま議長より発言の許可をいただきましたので、私は会派を代表し、通告に従い質問をさせていただきます。
先日よりの代表質問にて、市政の全般的な事柄については、多数質問、答弁が続いております。そこで当会派からは、市政の中でも、特に懸案事項と考えられる課題を、特に数点ピックアップをし、質問をしてまいります。テーマを絞って重点的に伺ってまいりたいとの思いですので、ご了承のほどをお願いいたします。
では、早速1点目の質問です。指定管理者制度について伺います。平成15年6月、地方自治法第244条が改正され、同年9月に施行されました。この改正により誕生したのが指定管理者制度です。それまで公の施設の管理運営については、公共団体か公的団体、もしくは公共団体が50%以上出資している法人が実施することとなっていました。
しかし、この法改正により株式会社などの営利団体やNPO法人などの民間団体も管理運営が可能となりました。総務省実施の指定管理者制度の実施状況調査によりますと、平成18年9月時点で、全国で6万1565施設が指定管理者制度を導入し、さらに、その内訳は、公募29%、非公募の特定は71%となっています。この指定管理者制度について、総務省では、その目的を公の施設に民間の能力を活用し、住民サービスの向上を目指すとともに経費節減等を図ると整理しています。
ゆえに指定管理者は公的責任を保持しつつサービスの向上させ、コストダウンも追及することが求められており、全国の施設で公共性と営利性のバランスをとりながら、よりよい指定管理者、よりよい施設のあり方について試行錯誤が続いている状況であります。
例えば、近隣では、芦屋市は文化振興財団を解散させ、各施設のあり方を検討し直し、NPOが指定管理を受けたり、市の直営に戻したりしています。三田市では、新設の文化ホールについて、民間企業が指定管理を受け、採算重視の積極的な経営を展開しています。各地で、指定管理者制度について試行錯誤されている様子がうかがえます。
さて、この指定管理者制度、伊丹市はどうなっているのでしょうか。当市も平成15年の法改正を受け、現在、市内の131カ所にて指定管理者制度が導入されています。この制度では、管理運営の期間を定めることとなっています。当市の場合、平成18年度から3年間を指定期間とし、今年度、平成20年度に期間の満了を迎えるという施設が44施設ございます。そして、その切りかえ方法としては、前回、公募で指定管理者を選定した9件、26施設は今回も公募ということで、現在、公募先を募集中です。また、前回、非公募、つまり特定の指定管理者を選定した18施設については、今回も引き続き非公募で管理者を指定する。さらに幾つかの施設には利用料金制度を導入すると、打ち出されています。
そこで、指定管理者制度について、このような現状にある伊丹市おいて、質問をしてまいります。まず、切りかえのときに当たって、1、3年間の管理運営における検証方法と結果についてを伺います。何のために指定管理者制度に期間が設けられているのか、それは定期的に管理運営の状況を見直し、よりよい管理運営に向けてブラッシュアップされるべきだからであります。すなわち今回、初めて指定期間の満期を迎え、管理先を再選定する、この時期に、これまで3年間の管理状況、管理運営の状況をしっかりと検証し、必要であれば改善点を加えることが不可欠かと考えます。これは当市における指定管理者の3年間の管理運営に問題点などあったというわけではなく、また、現在の指定管理者を変更すべきというものでもなく、実際に管理運営において、創意工夫のもと管理者が尽力されている事実も存じていますが、ただ、管理運営に関する検証が十分に実施されずに、改善点も検討されないまま、指定管理者がそのまま移行を継続されるというのは、好ましいことではございせん。必要なのは、管理運営の検証と改善点の検討であり、その結果、現在の指定管理者が引き続き管理運営をということであれば、問題はないかと思います。
そこで、伺います。初めて指定管理の再選定の時期を迎えた今、3年間の管理運営の検証は、どのような方法で実施されたのでしょうか。抽象的でなく具体的な判断が必要だと考えますが、その点はいかがでしょうか。また、その結果はどうのようなもので、どんな改善点が浮上したのでしょうか。お教えください。
次に、切りかえ時に当たって、2、公募・非公募の検討方法と、その決定理由について伺います。市の方向性として、先ほども申しましたが、前回、公募で管理者を選定した施設は、今回も公募、前回、非公募で特定の管理者を選定した施設は、引き続き非公募でとの方向性が打ち出されました。
指定管理者制度について、市の条例では、伊丹市公の施設に係る指定管理者の指定の手続等に関する条例第2条にて、指定管理者の指定を受けようとする法人、その他の団体を公募しなければならないと記されています。また、議会においても、前回の指定管理者選定に際に、今回、非公募とした施設も次回の選定においては、公募の方向性で検討するとの答弁がありました。何も現在、非公募の施設を無理やり公募しろというものでもございませんが、ただ公募、非公募の決定に関して、十分な検討と十分な理由と、そして、十分な説明が必要かと考えるところです。
そこで、伺います。今回の切りかえ時において、公募、非公募と、それぞれ決定した、その検討方法と決定理由をお教えください。
次に、利用料金制度の導入について、伺います。先ほども申しましたように、来年の指定管理者の切りかえ時から、幾つかの施設において利用料金制度が導入されると打ち出されています。利用料金制度のメリットは管理者側のインセンティブであります。インセンティブとは、やる気を起こさせるような刺激という意味合いで、つまりもうかれば、その分は自分のところの収入になるという形態が管理者側のモチベーションアップにつながるということであります。逆に利用料金制度のデメリットは、万が一収入が上げられなかったときに、サービスは低下してしまうおそれがあることです。公の施設の場合、著しいサービスの低下は好ましくありません。リスク回避が必要です。公募でない、特定の指定管理者に利用料金制度を導入する場合、そこに競争や競合が存在しないことから、大きなインセンティブにはならない。ただ、当時に大きなリスクも生じないと言われています。
つまり、今回の当市の利用料金制度導入は、恐らくですが、大きな効果も見込めないかわりに、大きなリスクもないということで、活性化の一助になるならと、一定理解はしているところでございます。ただ、増額した場合の余剰金の使途、減額した場合のリスク対応など、工夫は必要でありましょう。
そこで、伺います。利用料金制度を取り入れる施設の中でも、事文化振興財団の場合を例とし、経営努力により利益を上げることができた場合、その増額分は、指定管理者は、どのように使うことができるのでしょうか。管理者側のモチベーションアップにつながるような使い方が可能なのでしょうか。また、残念ながら減額した場合は、公の施設のサービス低下につながらないのでしょうか。リスク回避はどのようにお考えでしょうか、お教えください。
さらに利用料金制度について、減免制度との兼ね合いを伺います。減免制度とは、公の施設を公や特定の団体が使用する際、その利用料などが減額、もしくは免除になるという仕組みでありますが、利用料金制度が導入されると、この減免措置との兼ね合いに一定の工夫が必要になります。例えば、減免分を管理者側がかぶるのか、減免措置自体を廃止するのか、また、減免分を見越して委託料を設定するのか等々、検討が必要です。
そこで伺います。利用料金制度導入について、減免制度への対応はどのように措置されるのでしょうか、お教えください。
次に、指定管理者制度の今後のあり方について、伺います。
まず、管理運営についての業務評価体制について伺います。そもそも指定管理者制度は、市の直営から外れることもあり、管理運営がずさんになるという可能性を秘めているものです。そこで必要になるのが、適切なチェック体制でありましょう。当然、行政側が公的責任を担保しようと、厳し過ぎる、がんじがらめのチェック体制を課してしまうと、管理者側はモチベーションが低下し、民間のよい部分を生かすという指定管理者の大きな目的を阻害することとなります。が、しかし、いわゆるほったらかしでも万が一、問題が生じても何の対処も施されず、施設自体が衰退していくおそれがあります。指定管理者の自由度を保持しつつ、その責任の範囲を明確にする適切なチェック体制が必要ではないでしょうか。当市の場合、半期ごとの指定管理業務評価表なるチェック体制が現在、存在しています。
しかし、簡単かつ抽象的な項目を内部で評価するという形態にとどまっており、いささか物足りなさは感じるところでもあります。例えば神戸市では、指定管理者制度を導入する市内542施設すべてにおいて、1、外部監査の導入。2に、利用者満足度調査の実施、アンケートの実施ですね。3、数値も含めた管理運営のチェック。4、新たに提供されたサービスの情報公開などを実施しています。適切なチェック体制は、ふだんの管理運営の向上につながるとともに、次なる指定管理の選定の際にも検討見直しの重要な材料にすることが可能です。
そこで、伺います。指定管理者の業務評価体制について、現在の方法の見解はいかがでしょうか。可能な箇所は数値目標を掲げることなども含め、評価基準を具体化、明確化させる体制が望ましいと考えますが、その方向性はいかがでしょうか。また、外部監査や満足度調査、改善点の情報公開等々の検討はいかがでしょうか、お教えください。
続いて、文化振興ビジョンの策定について、伺います。とある企業の「指定管理者PFIプロジェクト室」なる部署の担当者に話を聞きますと、ほとんどの文化施設の設置目的は具体性に欠けている。位置づけや特色、方向性を明確に打ち出してほしい。そして、それは自治体の役割ではないかという話を聞いたことがあります。
確かに指定管理者側としては、自治体側の大きなビジョンがなければ、独自の判断で管理運営をすることになり、その上で方向性が違うなど、文句を言われても困惑するばかりでありましょう。管理運営は指定管理者に委託するにせよ、ビジョンを提示するのは、あくまで自治体側ではないでしょうか。伊丹市においては、指定管理を導入している施設の、特に文化施設などについては、市としての全体的、長期的なビジョンがほしいところです。現在、当市の文化ビジョンに関しては、平成9年に文化振興ビジョンが提言されていますが、あくまで、これは提言にとどまっているとともに、平成9年から11年もの歳月が流れております。さらに、このビジョンをひもときますに、伊丹市の文化は施設のハード整備という第1段階は終了し、これからはソフトの充実という第2段階に入るという内容でありました。これが平成9年の段階ですので、ならば、今は第3段階ではないでしょうか。
言わずもがな、伊丹市は文化が充実しており、それは伊丹の誇りであります。だからこそ、今後のビジョンがほしいところであります。
そこで、伺います。指定管理者制度について、事文化施設については、市としての総合的なビジョンを再構築することが望ましいのではないかと考えますが、見解はいかがでしょうか。
以上、指定管理者制度について、ご答弁をお願いします。
では、2点目の質問にまいります。就学前の子供の施策について、伺います。
現在の日本において、就学前の子供、つまり小学校に上がる前のゼロ歳から6歳の子供は、おおむね幼稚園か保育所に通って小学校に上がるというパターンになっています。幼稚園と保育所は、いずれも就学前の子供が利用する施設ではありますが、設置の目的によりすみ分けがなされています。幼稚園は小学校に上がる前の幼児教育を受ける教育施設で、保育所は保育に欠ける子供を預かる福祉施設となっており、年齢は幼稚園が3歳から6歳、保育所はゼロ歳から6歳までであります。
しかし、近年、少子化、核家族化、就業形態の多様化、女性の社会進出などの社会情勢の大きな変化に伴い、幼稚園と保育所における従来の明確なすみ分け、単純な二分化というパターンが、現実にそぐわなくなり、幼稚園、保育所ともに多くの課題が顕在化してきました。都市部では、保育所ニーズが高まり、待機児童解消が喫緊の課題となる一方、幼稚園、特に公立幼稚園では園児が減少し続ける状態、また、農山村部では、保育所、幼稚園ともに人数が激減し、統廃合を余儀なくされるケースが相次いでいます。このような状況下、保護者の就労の有無などで利用する施設が限定されることなく、ニーズに応じた就学前保育・教育を選択できる、いかなる状況でも同じ年齢の子供、同じ地域に住む子供が同じ保育、同じ教育を享受できるシステムが構築できないものかとの考えが台頭し、そんな中、誕生した一つのパターンが幼保一元施設であります。これは幼稚園と保育所を一体化させた施設をつくっていこうというものですが、メリットは幼稚園では保育を、保育所では幼児教育を今よりも、より一層充実させることができる。また、保育所の待機児童解消や公立幼稚園の園児減少に係る運営の非効率化も解消できる。また、子供の健やかな成長にとって、大切な集団生活や異年齢の触れ合いが可能であるなどが、メリットとして上げられています。
国においても、平成18年10月、「就学前の子供に関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」が成立し、これにあわせて幼保一元施設である認定子ども園の基準整備が実施されました。
さらに来年度予算の概算要求に応じて、認定子ども園の普及を目的とした交付金、子ども交付金が上げられており、幼保一元化施設への方向は加速されている現状です。
全国各地でも幼保一元化を実施する自治体が増加しており、例えば、近畿では加西市、朝来市、池田市、堺市、交野市、狭山市、奈良市、長浜市、綾部市、栗東市等々、独自の幼保一元化施設を展開している自治体がふえています。他の先進事例といたしましても、愛知県豊田市では、来年度から市内すべての公立幼稚園、公立保育所、私立保育所、計82園を幼保一元化施設にすべて移行させるという思い切った施策を発表しています。
加西市と池田市の事例を視察いたしましたが、制度上の違いはクリアできており、現場では幼保の内容に違いを感じることはなく、異年齢交流などメリットを感じるところが多いとのお話でした。いずれにせよ、就学前の子供にとって、よりよい方向性を検討した上で、幼保一元化施設を実施する自治体が増加をしているというのが現状であります。
さて、就学前の子供施策について、特に幼保一元化について、大きな流れを述べてまいりましたが、そこで当市の場合です。伊丹市において、保育所ニーズは高まりを見せており、待機児童は4月時点でゼロカウントになるものの、年度終わり3月では、平成19年度で185人の待機、また、就職活動中やパート勤務の場合は待機児童にカウントされず、数値にあらわれない待機状態もあることを考慮すると。保育所ニーズは高いと判断できます。実際、5歳児における保育所の入所率は平成10年から19年の10年間で13.4%から20.3%に急上しています。
一方で幼稚園は、公立幼稚園の園児数減少が積年の課題です。伊丹市は、一校区一園制、つまり一つの小学校に一つの幼稚園が整備されているという形態ですが、19年度で4歳、5歳、それぞれが1クラスずつという園が17園中9園、また、応募状況を見ても、平成11年の939人をピークに、平成20年度は定員を割り込む679人と減少しています。
子供の健やかな成長には一定以上の園児数が必要という教育的見地や、また、少ない園児数にもかかわらず、一つの園として運営するのはコスト的にも非効率という財政的見地から、公立幼稚園の適正規模、適正配置が喫緊の課題となっております。
そこで、平成19年2月からは、学校教育審議会と福祉対策審議会との合同部会が開かれ、幼保一元化などについて審議が行われました。6回にわたる審議の結果、答申は幼保の一体的運営については、既存施設を有効に活用することを基本に、具体化に向けて検討する必要があると出ております。このような当市の現状を踏まえ、以下、質問をいたします。
まず、1点目、伊丹市の就学前の子供の施策について、全体的なビジョンということについて伺います。現在の伊丹市では保育所、幼稚園、それぞれの課題が個々に検討されている状態であり、効率の悪さが顕在化しているとともに、各課題とも進捗状況は好ましくありません。これは各課題が、それぞれ複雑に絡み合っているにもかかわず単独で解決しようという側面があるからではないでしょうか。まずは就学前の子供、全体をとらえた総合的、長期的、全体的なビジョンを定めることが不可欠であり、すべての第一歩になるのではないかと考えるところです。
そこで、伺います。現在の各課題の見直し、検討も含めて、就学前の子供施策の総合的なビジョン、考えを設定することを強く求めるところでありますが、それについての思いと見解をお教えください。
次に、総合部署の検討ということについて、伺います。就学前の子供の施策を検討する上で、非常に大きな壁となっているのが幼稚園と保育所の管轄の違いであります。御存じのように幼稚園は文部科学省管轄で、当市では教育委員会の学校教育課、保育所は厚生労働省管轄で、当市では市長部局のこども部が担当となっています。この管轄の違いのという弊害を打破するために近年、自治体によっては部署を統合するところがあらわれ初めています。例えば、加西市では保育士が児童福祉を担当していた市長部局部署を教育委員会に委託をし、教育委員会の中にこども未来課なる部署を今年度により発足させたということです。
また、池田市では、幼稚園部分を教育委員会から取り出し、補助執行なる形態で市長部局の子育て人権部にぶら下げる方法をとっています。また、交野市ではこども室なる部署を単独で設け、幼稚園、保育所、在宅子育ての業務を一括して担当しています。
当市においても管轄の違いによる弊害を打破するためにも、就学前の子供施策を全体的に担当することができるような総合部署の設置が望ましいのではないかと考えるところであります。
本年3月議会においても、幼保一元化の方向性について、今後、教育と福祉の関係者が協働しながら・・・、なる答弁もありました。その一つは総合部署の設置ではないかと考えます。
そこで、伺います。就学前の子供の施策、全体を担当することが可能な総合部署の設置について、見解と方向性などをお教えください。
続いて、幼保一元化について、伺います。当市が抱える課題、保育所ニーズの高まり、公立幼稚園の園児数の減少などを痛みなしに解決することが可能な方法の一つが、幼保一元化施設の導入ではないかと考えるところです。平成17年度に実施をされた学校教育に関する市民意識調査でも、幼保一元化のニーズが高いとの結果が出ております。また、学校教育審議会と福祉対策審議会の合同部会の答申では、幼保一元化施設については、そのメリットをかんがみ、今後、具体的に検討を進めていくと。また、同じく答申で、公立幼稚園の統合に当たっては、存続園以外の施設の利活用は、幼保総合施設を最優先に検討することが望ましいと記されています。
伊丹市において、幼保一元化が具体的にどのようなパターンで導入可能かは、今後の検討課題ではありますが、前向きな姿勢で検討を進めてほしいと強く願うところであります。
そこで、伺います。市として、幼保一元化について、現時点で基本的な思いや見解をお教えください。
次に、幼保一元化について、具体的な動向を伺います。合同部会の答申では、今後、具体的に検討を進めていく必要性があると記されており、今後、3月議会でも教育委員会答弁で、「子供部と連携して、引き続き具体化の方向で検討がなされるべきと考えている」とございました。この文言どおり、幼保一元化について具体的に検討を進めていただくことを強く望むところでありますが、その方向性はいかがなものでしょうか。例えば、幼稚園教諭と保育士の積極的な人事交流や保育園児と保育所児の子供同士の交流の機会を設ける。また、新たな審議会を検討するなどからでもと考えるところでありますが、いかがでしょうか。
以上、就学前の子供に関する施策について、伺いました。ご答弁をお願いいたします。
では、次の質問にまいります。市立伊丹病院についてであります。皆さんもよく御存じのとおり、全国的に公立病院、自治体病院は大変な経営危機に陥っております。経営状況悪化の原因の一つは、深刻な医師不足です。平成16年度から導入された臨床研修医制度、過酷な勤務体制や低い報酬、訴訟リスクの高さなどによる勤務医の減少、開業医の増加、外科、産婦人科、小児科などへの希望医学生の減少などが医師不足につながっています。
医師1人減少すれば、年間1億円の収入が減額するとの有名な話どおり、医師不足が病院の経営状況悪化の大きな原因となっています。また、たび重なる診療報酬のマイナス改定、相次ぐ医療制度改革、療養病床に続いての一般病床の大幅な削減、平均在院日数の短縮化なども経営悪化につながっています。
全国公私病院連盟の平成18年度における病院運営実態分析調査では、全国およそ1000カ所の公立病院のうち73%が赤字とのデータが出ております。そして、残念ながら、我が市立伊丹病院も、その赤字病院も、その赤字病院の一つであります。19年度決算では、単年度で6億6303万円の純損失、前年度18年度の8億8500万円より25.1%損失率は減少しているものの、単年度で巨額の赤字を出す経営状態は変化しておらず、これまでの累積欠損額は43億3011万円を記録している状態です。
この危機的な経営状況を再建すべく、伊丹病院でも、これまでさまざまな取り組みが進められてきました。平成19年には「第三次市立伊丹病院経営健全化計画」を設定し、また、昨年8月には市長を本部長とする、「伊丹市地域医療体制整備推進本部」並びに事務局などを担当する「地域医療体制整備推進班」も発足いたしました。具体的に変革された点としては、1、中田病院事業管理者を新しくお迎えしたこと。2、SPDを導入し、外注し、経費削減したこと。3、休床中の6階東病棟のリニューアルオープンし、2階も再編したこと。4、設置費用全額業者負担で、院内にコンビニエンスストアをオープンさせたこと。5、医師採用に関して、ネットの人材サイトを活用したこと。6、医師確保のために積極的に阪大医学部など、関連大学に働きかけたこと。7、事務職等において、6名の人員削減をしたこと等々、変革がなされました。
結果、明るい兆しも見られ、20年度は医師を3名新規採用できたとのこと。昨年、開始された助産師による院内助産もイメージアップにつながりました。ことし6月14日発売の週間ダイヤモンドなる雑誌にて、全国病院ランキング6位に選ばれるという、うれしいニュースもあり、関係者の皆さんの尽力の賜であろうと、頭の下がる思いであります。
しかし、依然として危機的に厳しい経営状況に変りはりません。この状況をいかに改善していくか、そこで幾つかの質問をさせていただきます。
一つ目の質問は、まずもって大きな方向性であります。総務省では、公立病院の抜本的な改革を図るべく、昨年、平成19年12月に公立病院改革ガイドラインを発表しました。これは法的拘束力はないものの、かなりの強制力を持つ指針でありますが、このガイドラインによりますと、公立病院の改革について、三つのパターンを推奨しています。
1、経営効率化、つまり経費削減などで自己再建するというパターン。2、再編ネットワーク化、つまり近隣の病院と診療科を分担したり、核になる病院とサテライト病院に再編するなどのパターン。そして、3、経営形態の見直し、つまり指定管理者や地方独立行政法人などに経営を変更するパターンと。この三つのパターンがガイドラインで視点として挙げられています。
そこで、まず、伺います。市立伊丹病院としては、今後の方向性として、どのパターンを、視野に現在、進めていらっしゃるのでしょうか。現在での方向性は、まずは明確にお教えいただきたいと思います。
さらに伺います。もし、今後の伊丹病院の方向性を、先ほどの一つ目のパターンである経営効率化、つまり自立再建を現時点で選択というのであれば、今以上の、かなり大がかりな内部改革が不可避となります。当然、自立再建ができれば、それにこしたことなく、安易な経営母体の改革は決して好ましいものではありません。一時期、特効薬のように言われた経営形態の見直しも、現在は慎重に進める傾向にあることも存じています。そして、自立再建に向けては、伊丹病院でも、これまで努力を重ねておられるのは十分承知するところであります。現に平成19年度決算では、支出においては、前年度より4億8902万円削減となりました。しかし、収入は前年度比2億6617万円の落ち込みを見せています。支出が抑えられても収入が増加しなければ、残念ながら経営の建て直しにはつながりにくいことを考慮すると、内部における、さらなる抜本的な改革が必要でありましょう。
例えば、個性化、専門化した病院にスイッチしていく。また、規模を縮小する。市内開業医との連携を強化するなどは、各地で工夫されていることであります。また、医師確保についてのクラーク制度の導入や、女性医師確保の工夫なども見られるところです。
そこで、伺います。今後の経営改善の抜本的な改革方法について、具体策をお教えください。少なくとも数点は新規事業が欲しいところでありますが、いかがでしょうか。
次に、病院に関して、経営改善計画について、伺います。平成19年「第三次市立伊丹病院経営健全化計画」が設定されました。これは19年度からの4カ年計画で、これによりますと、計画初年度である19年度は赤字額5億2000万円にすると。20年度では2億2103万円に。21年度には赤字額4361万円。そして、22年度には3884万円の黒字に転換させるとの計画内容となっています。
しかし、19年度の実際の純損失額は6億6300万円です。計画値の5億2028万円に比べ1億4000万円も多く、残念ながら赤字が出ました。さらに、今年度は計画では2億2000万円ほどの赤字となっていますが、前年度6億円の赤字を記録しているところを、およそ3分の1にできるのかと。また、22年度には本当に黒字転換できるのかなどを考えますと、この計画は現実的には少し厳しいのではないかと感じざるを得ません。
そこで、伺います。この市立伊丹病院経営健全化計画について、初年度から残念ながら破綻をし、今後はさらに計画値と乖離するのではないかと予想されるところですが、これをどうとらえておられるのか、見解をお教えください。
さらに、経営健全化計画の修正、改善について、伺います。先ほど申しました総務省の公立病院改革ガイドラインでは、平成20年度内に改革プランを設定し、病院事業経営の改革に総合的に取り組むこと。既に健全化計画が存在をしていても、ガイドラインを踏まえた見直しをしてプランを設定することと記されています。これに基づき、伊丹病院でも、現在、改革プランを鋭意作成中のことと存じます。
そこで、伺います。現在、作成中の改革プランの方向性はいかなるものでしょうか。プランの計画値と実際の値が大きく乖離した場合は、国からペナルティーもあり得るという話も聞きますが、計画値は実現可能で、現実的に設定をされるのでしょうか。また、初年度から破綻を見せた経営健全化計画に、この改革プランを反映させて改善、修正を加えるべきかと考えますが、それについてはいかがでしょうか、お教えください。
次に、病院について、市役所サイドに伺います。1点目、伊丹市地域医療体制推進本部についてですね。昨年8月に伊丹市地域医療体制整備推進本部並びに推進班が発足しました。この設置目的は、市立伊丹病院の診療体制等の懸念する声にこたえるとともに、地域における医療体制の確立を図ると伺っています。そして、設置からおよそ1年が経過しました。
そこで、伺います。この推進本部及び推進班について、特に市立伊丹病院の再生に関しては、どのような活動を展開されたのでしょうか。そして、今後の具体的な展望はいかがでしょうか。また、市として市民病院の今後の方向性について、現時点でいかにお考えでしょうか。そのあたりをお教えください。
次に、財政基金からの貸し付けについて、伺います。伊丹市の一般会計から企業会計である伊丹病院へは、毎年、繰り入れが実施されています。これは公共的な部分に対しての繰り入れであり、各自治体とも実施している会計処理でありますが、しかし、それとは別に一般会計の、特に財政基金の中から市立伊丹病院へ、平成18年度に10億円、19年度9億円の貸し付けが実施され、今年度20年度も4億円が予算計上されています。
当市は、財政基金として現段階で33億円あるとしていますが、実際は、そのうちの19億円が既に病院に長期貸し付けられており、残り14億円になっているわけであります。これは当然、貸し付けですので、病院は返済をしていかなければなりません。返済は平成20年度から、今年度から開始をされて、その償還の財源は一般会計から病院に繰り出すと聞いています。また、利子については、償還の際に利子を免除する方向性と聞くところであります。
このようなことから、財政基金からの19億円の貸し付けは非常にイレギュラーなものであると考えられます。そもそも一般会計からの貸し付けは、企業会計の原則から外れる異例措置でもありますし、額もかなり巨額であります。また、償還の財源も一般会計からの繰り入れで、利子分も免除の方向性と、かなりの特例措置であります。ただ、伊丹病院の救済、再生という目的において一定、理解はしております。ただ、貸付額が巨額であること。また、病院側に自力返済のめどはあるのか等々を考えますと、非常に危惧されるところでもあります。監査報告においても、今年度から加えられた資金不足比率の減少にて、この貸し付けについて、特に留意すべきとの特記もございました。
そこで、伺います。一般会計の財政基金から病院への19億円の貸し付けについて、まず、市としては基本的に、いかにとらえておられるのでしょうか。額、返済方法、利子とも、かなりの特例措置と見ますが、いかにお考えでしょうか。
さらに、この特別な長期貸し付けについて、市としてどこまで、どれだけ継続するというのでしょうか。一般会計も決して余裕はなく、財政基金も限りがあります。長期貸し付けを一定理解するにしても、いつまでも、幾らでも貸し付けを行うというわけにはまいりません。貸し付けを実施するにしても、額と期限などのめどを、ある程度、明確化させておくことが必要ではないかと、考えるところでありますが、どのようにお考えでいらっしゃいましょうか、お教えください。
病院について、伺いました。ご答弁をお願いします。
続いて、下水道会計について、伺います。平成19年度決算における下水道会計は、歳入が合計89億5300万円、歳出は合計89億5900万円で、事汚水に関して、およそ600万円の歳入不足となっています。下水道会計には雨水と汚水がございます。基本的に雨水は「雨水」と書きますが、雨水は市税で。汚水、「汚れた水」と書いて、汚水は使用料をもって運営するということが算定基準になっています。
今回は、特に公共料金として市民より徴収している汚水の会計運営について伺います。平成16年度より下水道会計の資本費の期間の差を埋めるために、資本費平準化債が導入されました。そもそも下水管を施設した場合、その耐用年数は、およそ50年であり、建設費は減価償却費として1年に50分の1ずつ徴収するということになっています。
しかし、減価償却費の起債の償還は、返していくお金はおよそ30年間となっています。つまり汚水会計について、市民より徴収する下水道料金の中から減価償却費として1年に50分の1を料金徴収するのですが、その償還は1年間におよそ3分の1が必要なので、そこに金額の差が生じるわけです。1年につき下水道料金を適正に徴収できたとしても元金償還額の、およそ40%が不足するという計算になります。そこで導入されたのが、資本費平準化債です。これにより、それまで不足分を一般会計から繰り入れていたのを、平準化債で充てることとなりました。平準化債の額は、起債償還の元金部分から減価償却費を差し引いた額であります。
そこで、まず伺います。平成18年度、平成19年度の下水全体の資本費平準化債の発行額は幾らで、うち汚水に係る額は幾らでしょうか、まず、お教えください。
さらに、さて来年度より下水道会計が特別会計から公営企業会計へと移行されます。そのメリットとしては、1、損益取引と資本取引の区分により、経営成績や財政状況が明確となる。2、損益計算が適正に行われることにより、使用料対象原価が明確化し、使用料が適正に算定できる。3、経営成績、財政状況が明確となるため、市民への経営内容等の情報提供がよりわかりすいものとなると挙げられています。
確かに会計が明確となり、使用料がより適正に算定できるようになるというのは、好ましいことではありますが、ただ、会計制度が変わることにより、私たちが支払う下水道料金が値上がりするというのは、好ましくなく、市民にも説明しがたいところです。下水道使用料として徴収されている額は、その年の維持管理費と資本費、つまり建設償却費と起債利子です。これまでは、そのすべてを使用料にて算定していると伺っていました。そして、平準化債を発行してからは、基本的に汚水には一般会計からの繰り入れはしない方針ということであります。
そこで、伺います。平成19年度決算において、支払われた利子のうち、汚水に係る利子の額は幾らで、使用料として徴収した利息相当の使用料は幾らなのでしょうか。一般会計からの繰り入れはなかったのでしょうか、お教えください。
次に、減価償却費について伺います。汚水に係る建設については、事業開始の昭和40年から、まだ50年たっておりませんので、その全額が減価償却費の対象となり、その額は総額を50で割った額になると考えられます。
そこで、伺いますが、昭和40年度から平成19年度の汚水に係る建設についての起債発行額の総額は幾らで、そして、平成19年度の減価償却費の実質額は幾らでしょうか、お教えください。
下水道会計については、これらの数値を、まずお教えいただきまして、その上で2回目の質問にて、さらに伺っていくことにいたしますので、ご了承ください。1回目はここまでにさせていただきます。
以上で、1回目の質問とさせていただきます。ご答弁のほどをお願いいたします。
市長(答弁)
私から就学前の子供施策の総合的なビジョンについてのご質問にお答え申し上げます。
誕生から小学校入学までの、いわゆる就学前の期間と申しますのは、その人の生涯にわたる人間形成の基礎が培われる極めて重要な時期とされておりまして、すべての子供たちが豊かな愛情に包まれながら、良好な育成環境の中で育てられなければならないと、私は考えております。しかしながら、一方で就学前の子育てといいますのは、親の育児に対する不安でありますとか、負担感が最も大きい時期でもありまして、核家族化の進行でありますとか、地域における人のつながりの希薄化によります、いわゆる家庭、地域の子育て力の低下が指摘されている今日におきましては、この時期の子育てを社会全体で支援することが必要ではないかというふうに、強く認識しておるところでございます。
こうした基本認識を持ちつつ、本市におきましては、未来を担う人づくりを、ご案内のとおり重点施策の一つの柱として推進しておるところでございまして、すべての子育て家庭を支援する施策を積極的に展開し、「元気なまち伊丹」の実現に向けた取り組みを進めておるところでございます。
特に就学前児童施策につきましては、伊丹市次世代育成支援行動計画、いわゆる「愛あいプラン」に基づきまして、主人公としての子供たちの育ちを、成長段階に沿って総合的、計画的に支援する環境づくりという基本的目標の実現に向けまして、在宅子育て家庭への支援や、幼稚園、保育所における取り組みの充実を図っておるところでございます。
現在、国では「新待機児童ゼロ作戦」、あるいは「5つの安心プラン」を初めといたしまして、次世代育成支援施策全般にわたるさまざまな制度改革が打ち出されておるところでございます。今後、私といたしましては、こうした国におけます制度改革の動向でありますとか、市民ニーズを十分に踏まえながら、愛あいプランの後期計画の策定を、これから取り組むわけでございますけれども、こうした中で就学前児童のよりよい育成環境づくりを実現するための、総合的な施策展開のあり方を検討してまいりたいと考えておりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
それから、続きまして就学前の子供施策を担当する総合部署の設置についてのご質問がございました。そもそも現在のこども部でございますけれども、これはご案内かと思いますが、平成18年度に新たな部として新設したものでございますが、当時におきまして、子供に関する施策の一元化を図ろうということで、従前、教育委員会の所管となっておりました所属のうち、家庭教育推進課、青少年課、こども文化科学館、及び野外活動センターを従前の市民福祉部にありましたこども室と統合したところでございます。この組織改正は、政策面では伊丹市次世代育成支援行動計画「愛あいプラン」の着実な推進と、安心して子育てができる環境の整備、さらには少子化対策を含めた子育て支援など、総合的、一体的に子育て関連施策を展開することによりまして、伊丹の未来を託す人づくりを実現しようとするものでございます。
また、市民のお立場から見ますと、市民サービスの向上の面ということで、保育所でありますとか、児童クラブの入所相談、あるいは子育てに関する相談や児童手当などの給付に関すること等、いわば子供に関する事務をワンストップで行うことができるようにしようということで行ったものでございます。
今回、議員から就学前の子供施策全体を担当する総合部署を設置してはどうかといったようなご提案をいただいたところでございますが、まず、法的な面からお答え申し上げますと、ことし平成20年4月1日に地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改正されまして、市長部局の権限を広げ、一部の教育委員会の事務を条例を定めることによりまして、市長部局で所管することが可能となったものでございますけれども、残念ながら公立幼稚園につきましては、依然、市長部局で所管することができないという決まりになっておるところでございます。
次に、議員からもご紹介いただきましたが、現実的な対応として、幾つかの市が幼稚園と保育所に係る窓口を一本化している例はございます。これは教育委員会の職員に併任辞令を出しまして、市長部局に派遣し、あくまでも教育委員会の職務権限のもと、事務を行うという手法が一つ。もう一つは保育所に関する市長部局の事務自体を教育委員会に委任して、窓口を一本化するという、大きく分けまして、その二つの方法があるわけでございます。本市におきましては、先ほど申し上げましたように、平成18年度に大きな組織改正を行いまして、可能な限りの子供に関する組織の一元化を図ったところでございまして、今現在の職場や事務内容の配置、配分もおおむね市民に定着してきたかなというようなところでございます。こうした中、新たに教育委員会とこども部をあわせた総合部署を設置することにつきましては、現時点ではということでありますけれども、単なる所管、省が違うとか、そういう問題ではなくて、そもそも法令上の制約があるということでありまして、当面、現行組織体制のもと、教育委員会とこども部の関係者が連携を、より一層密にして対応することとさせていただきたいと思っております。ただ、今後、法律の範囲内で市民にとって、どのような、よりよい対応が可能なのかということにつきましては、現在、議員ご指摘もありましたように、こども交付金の制度でありますとか、国の動向もいろいろ動いておりますので、そういった国の動向を注視し、また、他市もいろいろ、そういった状況の中で工夫しておるところでございますので、そういった他市の状況も勉強させていただきまして、伊丹市にとって、ここをどうすればいいのかということについては、今後も研究してまいりたいと考えておりますので、ご理解いただきますようお願い申し上げます。
他のご質問につきましては、担当部長等からご答弁申し上げます。
総合政策部長(答弁)
私の方からは、指定管理者制度に関する数点の御質問について、お答えをいたします。まず、3年間の管理運営の検証方法と結果についてでございますが、指定管理者制度の導入目的は、民間等の能力を活用することにより、住民サービスの向上を図り、かつ管理経費の節減を図ることであり、これらの目的が十分に果たされているかを検証することは、非常に重要であると考えております。
本市では、指定管理者の管理運営状況を検証するため指定管理者に対し、地方自治法で定められた年1回の事業報告書の提出に加え、月ごと、あるいは半期ごとの事業報告書の提出を義務づけ、これに基づき、年2回、各業務の実施状況を施設担当課が評価し、指定管理業務評価表としてホームページで公表をしております。
また、アンケート形式による利用者満足度調査についても、可能な限り実施をすることとしており、サービス水準の維持、向上が図られているかについての検証に努めてまいりました。制度導入から、現在までの各施設における、これらの検証結果については、公募により指定管理者を選定した施設、公募によらず、特定の団体を選定した施設、いずれにおきましても、適切な管理運営が行われており、制度導入前と比較して同等、あるいは、それ以上のサービス水準が維持されているものと判断をいたしております。
一方、もう一つの目的である管理運営経費の縮減という財政的な効果といたしましても、指定管理者である各団体から、最少の経費で最大の効果を発揮する内容の御提案をいただき、効率的な管理運営に取り組まれた結果、全体で年間、約1億8000万円の経費縮減が図られており、この点においても十分な成果が得られているものと判断をいたしております。
このたびの指定管理者の再選定に当たりましては、こうしたモニタリングによる検証結果も十分踏まえた上で、それぞれの施設について、指定管理者制度による施設管理を継続することの是非も含めた検討を行い、改めて選定方法等についての方針決定を行ってきたところでございます。
次に、公募、非公募の検討方法と決定理由についてですが、指定管理者制度の趣旨は、議員も述べられましたとおり、従来、市や市の出資法人等に限られていた公の施設の管理を、民間事業者やNPO法人等にも門戸を広げ、そうした団体のノウハウを活用することにより効果的、効率的に施設の管理運営を行うというものでございます。議員ご案内のとおり、「伊丹市公の施設に係る指定管理者の指定の手続等に関する条例」第2条において、「指定管理者の選定に際し、施設の設置目的を効果的、かつ安定的に達成できる団体を広く公募する」ことを原則としておりますのは、こうした指定管理者制度の趣旨を受けたものであります。
前回、指定管理者の指定議案をご審議いただく中で、次回の指定管理者の選定に当たっては、原則は公募とする方向で検討する。そういった旨のご答弁を申し上げましたが、これは、こうした条例の規定に則して、本市の基本的な考え方をお示しをしたものであります。
一方、同条例の第7条では、「市民の参画と協働という観点から自治会組織などの地域の団体を活用することが効果的である場合や、それぞれの施設で実施されている事業を、市の特定の施設と一体的に推進するために、特定の団体を指定する必要があるといった場合等には、例外的に公募によらない選定が行える」旨、規定をしております。福祉、教育、文化といった、それぞれの分野で本市が掲げるさまざまな施策を推進するため、各施設においては、指定管理者と市が一体となって事業を展開している場合が少なくありません。それぞれの施設の設置目的を達成する、あるいはさまざまな施設を、より効果的に実施するためには、公募、非公募、いずれの方法による選定を行い、どのような団体を指定管理者として指定すべきかを慎重に検討する必要があるものと考えております。
今回、指定管理者を選定するに当たりましても、こうした条例の規定に基づき、原則に従って公募による選定を行うべきか、あるいは例外規定に照らして、特定の団体を選定すべきかについて、それぞれの施設において検討を行い、選定方法を決定したものであります。
なお、今後、指定管理者の選定事務を進めていくこととなりますが、選定に当たりましては、これまでもご答弁申し上げておりますように、経費節減だけに重きを置いた選定を行うといったようなことではなく、サービス水準の維持、向上が図られることを第一に選定を行うことが重要と考えております。
また、各施設における指定管理者の選定理由等につきましては、現在、各施設において選定事務を進めている段階でもありますことから、今後の議会において、指定管理者を指定する議案を御審議いただく中で、議員の皆様に十分な御説明を申し上げるとともに、市民の皆様に対しても、説明責任を果たしていかなくてはならないものと考えております。
利用料金制に関する御質問のうち、減免制度への対策についてですが、今回、文化施設等で利用料金制の導入を図るのを機に、減免制度についても指定管理者の裁量によるものとして、見直すことも一つの考え方ではありますが、利用料金制を導入することで、減免制度を設けた当初の趣旨が変わるものではないこと。さらには、直営施設を含め、利用料金制を導入しない施設との間で、取り扱いが異なることにもなることから、各施設で設けられている減免制度については、引き続き、現行と同様の取り扱いをしていくこととしております。
議員お尋ねの減免制度に伴い、指定管理者の利用料金収入が減収することへの対策等対応策につきましては、委託料を積算するベースとなる収支計画を指定管理者が立てる際に、過去の実績などから、あらかじめ減免による減収分を見込んだ上で料金収入を積算し、指定管理者が一方的に不利益となることのないよう配慮してまいりたいと考えております。
次に、今後のあり方についての御質問のうち、業務評価体制の充実策についてですが、指定管理業務に関して、適切なチェック体制を築くことは、施設の管理運営の質を高め、利用者のサービス向上につながるものであり、非常に重要であると考えております。このことは指定管理者制度の導入が進む中で、多くの自治体で認識をされているところでもあり、各自治体において、さまざまな取り組みが行われております。
本市においても、施設の設置者としての責任を果たす意味から、指定管理者の管理運営状況を適時把握し、必要に応じた適切な指示を行うために、制度導入当初から、モニタリングに取り組んでまいりました。
繰り返しとなりますが、地方自治法第244条の2第7項で、指定管理者は毎年度終了時に管理業務に関する事業報告書を提出しなければならない旨が規定をされておりますが、本市では、それに加えて指定管理者と締結している協定書において、大半の施設の場合、毎月の事業報告書の提出を義務づけ、管理状況の把握に努めているところででございます。
また、各施設担当課において、半期ごとの指定管理業務の評価を行い、それぞれの評価結果については、ホームページで公表するとともに、利用者の視点で管理状況を評価していただくという意味も含め、施設が清潔に保たれているか、職員の接遇はどうか、施設を利用しての全般的な満足度はどうかといった内容の利用者アンケートを、可能な限り実施することとしており、その結果についても、ホームページであわせて公表をしております。
現在、本市がモニタリングの一環として取り組み、公表しております「指定管理業務評価表」につきましては、内部による評価があることから、評価結果に対する客観性に欠けるという点では、まだまだ見直すべきところがあるものと認識をしております。
しかしながら、指定管理業務の外部評価につきましては、第三者の視点での客観的にチェックを行うという面で意義がある一方で、どのような立場の方に評価者となっていただくのか、日常の管理運営状況の実態把握が書類上以外では困難といった中で、どのようにして客観的、具体的な評価をしてもらうのかといった課題もあることから、本市においては現時点では、具体的な取り組みを行うには至ってない、こういった状況であります。
当面の課題といたしましては、現在実施しております「指定管理業務評価表」に基づく評価について、評価項目や様式、評価手法の見直しを行い、市民の皆様にとってよりわかりやすい内容のものとなるよう、改善を図ってまいりたいと考えております。
今後も引き続き、指定管理業務の適切なモニタリングのあり方について、外部評価など先進的な取り組みを行われている他の自治体の事例も参考にしながら、本市においてどのような評価のあり方が、より効果的なものとなるのか、検討を行ってまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
都市創造部長(答弁)
私から、引き続き指定管理者制度につきましての御質問のうち、3点についてお答えいたします。
まず、第1点目の伊丹市文化振興財団を例として、利用料金制のもとで利用料金収入が予定額を上回り、利益が出た場合についですが、午前中の質問への総務部長の答弁にもありましたように、指定管理者の経営努力による利益は、指定管理者に帰属することとなり、その活用方法については、今後、検討してまいりますが、財団の設立趣旨に基づいた活用策とすることを考えております。
例えばでございますが、中心市街地で地域住民や商業者等と連携したイベント「伊丹オトラク」や、先日開催されました「鳴く虫と郷町」に代表されるような財団独自事業の一層の充実と、新規展開により市民に還元していくこと。また、文化情報の収集や市内外への発信事業。また、事業企画や施設運営についてのスキルアップのための財団職員研修経費、また、施設の修繕のための積み立てなどが考えられます。
こういったことは、例えばというお話でございますので、今後、財政部局などを交え検討した上で、指定管理者と協議をしていきたいと考えております。
次に、第2点目の利用料金収入が予定額を下回った場合は、指定管理者の負担となり、市からの補てんはしないこととしております。
しかし、利用料金収入の設定については、弾力的な料金設定による貸し館についての営業活動など、一定の努力で達成可能なインセンティブとなり得る、目標設定を行うものであり、指定管理者が負担できないような大きなリスクを課すものではございません。
今後は、そういう形での委託料の設定作業を行ってまいります。
次に、3点目の文化振興ビジョン再設定の方向についてとの御質問にお答えいたします。
伊丹市文化振興ビジョンは、平成9年3月に同ビジョン懇話会からの提言を受けて策定され、本年まで11年が経過しております。
このビジョンの基本方針としては、四つの柱がございます。一つ目の柱の「多様な人が文化に関心を持ち、楽しむことのできる環境をつくる」という柱でございますが、中心市街地に文化6施設が整備され、各館の特色を生かし、また連携しながら市民が芸術文化に触れ、文化に共感を覚えることができる環境づくりを進めております。
2番目の柱の「市民を中心とした文化事業の推進を図る」という柱についてですが、文化会館の市民企画公募事業や、美術館、演劇ホールでの子供、中高生のワークショップなど、市民が主体となった事業も定着してまいりました。
3番目の柱の「文化によってまちの魅力と個性を高める」につきましては、柿衞文庫を初めとする「みやのまえ文化の郷」など、伊丹固有の歴史性のある事業を展開し、広域的な集約を図っております。
4番目の柱の「文化の視点からのまちづくりを促進する」という柱についてですが、文化振興は、市の政策全体にかかわるものでございまして、教育、福祉、産業などの各施策へ寄与することや、地域の活性化など文化の視点からのまちづくりを促進しております。
その中で、特に文化施設につきましては、特色ある各施設を中心に多様な事業を実施し、施設間での連携した独自事業や、市民及び地域と協働した事業により、また、市民活動の場として、この四つの基本方針の推進に寄与しているところでございます。
お尋ねの指定管理者の選定に当たり、文化振興ビジョンの見直しが必要という御指摘でございますが、文化振興ビジョンは文化施設のあり方を定めるものではなく、また、本市の各文化施設は御指摘いただいたような他の自治体の例に比べまして、事業レベルは高く、その特色は既に十分に明確であると考えております。
また、手続的には、指定管理者選定の際の詳細仕様書に明示しておけば、御指摘のような不明確というような苦情はなくなるものでございます。
したがって、御指摘いただいたような観点からのビジョン改定は考えてはおりません。むしろ文化振興ビジョンは、市民や地域が主体となる文化活動全体の方向性を定めるべきものであり、また、その意味では現時点では、むしろ市民の手によってつくられることが、望ましいのではないかとも考えております。
今後の方向性としては、行政主導型でなく、市民や地域が主体となった文化が定着し、それが市民自治と都市の持続的な発展を支える基盤となることが第一でありますので、施設はそのための場として、活用していただくものと考えております。今後はそういう広い観点から、まずこれまでの文化施策を評価、検証することから始めまして、その検証結果をもとに、新しいビジョンの必要性について研究してまいりたいと考えております。
以上でございます。
こども部部長(答弁)
私から就学前の子ども施策についてのうち、幼保一元化に関する御質問にお答えいたします。
幼保連携、幼保一元化は、ゼロ歳から就学前の子供とその家族が、親の就労の有無にかかわらず子供の発達段階で、それぞれのニーズに応じて幼児教育、保育、その他の子育て支援サービスが受けられる育成環境選択できるものとして、その推進が期待されているところでございます。
国におきまして幼保連携を具体化する一つの制度として、平成19年度から認定こども園制度が発足したところですが、議員御承知のとおり、教育と福祉の所管官庁や、それぞれの根拠法が異なることなどにより、制度全体として使いづらいものとして普及が進んでいない状況にございました。
こうした実情を受け、国において現在、制度全般にわたる見直しが進められておりまして、「こども交付金」を創設して従前にはなかった国、地方による認定こども園への財政支援を実施する方向が打ち出されたほか、認定申請や会計処理の簡素化、幼稚園教員免許資格と保育士資格の併用促進に向けた具体策など、地方公共団体、利用者、関係者等の意見を取り入れながら、平成20年度中に制度改革の結論を得ることとしております。
この制度改革で認定こども園の普及に弾みがつきますと、幼稚園や保育所を取り巻く状況や、幼保連携に少なからず影響するものと考えられることから、今後の動向を注視しながら、本市における認定こども園のあり方について、柔軟に検討してまいりたいと考えております。公立幼稚園、保育所の連携につきましては、幼稚園教諭と保育士が情報や意識を共有すべく、共同研修により交流を続けております。
平成17年度から幼稚園と保育所相互に職員を派遣する研修を開始いたしまして4年目を迎えましたが、20名以上が各現場を体験いたしております。さらに18年度からは四、五歳児を中心として児童の交流も実施し、職員、児童の両者が現場での取り組みを進めておるところでございます。
今後とも就学前の子供に、よりよい幼児教育と保育を提供することを目標として、例えば、幼稚園と保育所を一体的に運営する場合に生じるさまざまな課題と、その解決策などについて検証しながら、教育委員会と一層の連携を図りつつ、取り組みを進めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
病院事業管理者(答弁)
私から市立伊丹病院における数点の御質問にお答えいたします。
まず、厳しい経営状況の中、今後の方向性を問うとの御質問ですが、昨日も御答弁申し上げました内容と重複いたしますことをお許し願います。
現時点において、当院といたしましては経営の効率化をさらに進め、議員のお言葉をかりて言えば自立再建に努める所存であります。
その理由は、1番目としまして、病院改革が多少とはいえ軌道に乗りつつあり、医業収益も改善の兆しが、少しではありますが見られること。懸案の医師確保についても、厳しい状況に変わりはないものの、市長の御尽力により医師の主たる派遣元であります、私の母校、大阪大学医学部と良好な関係が築けていること。長期借入金の負担は重いものの、平成25年ごろには病院建設時の起債償還が終わって、その分、恐らく身軽になるであろうこと。4番目に、全国的に見ても再編統合などの机上の青写真がうまく進んでいるとは、いまだまだ言いがたく、やり方によっては救急医療や患者、市民の利便性の悪化など、地方医療の後退につながることがあります。また、5番目の、指定管理者制度などの民営化や再編、統合などの手法には、下手をすれば大きな混乱や破綻を招くリスクがあり、反面、成立しても、必ずうまくいくという保障が、現在のところない等々あります。
病院は、医師なしに成り立たず、医師は行政職員とは違い、行政的感覚のみで事を進めると、流行語にもなりました「立ち去り型サボタージュ」で、「医師は静かに去って行く」ということにもなりかねません。
ただし、伊丹病院といたしましても自立再建以外のこうした選択肢を、一切受け付けないというような考えということではなく、状況の変化に細心の注意を払い、臨機応変の対応をとることは、リスク管理の観点からも当然必要であると認識しております。
私自身は、現在は医療の大きな変革期であると考えております。どの手法を取るか、その時々の状況にもよりますが、一般的にはさきの御答弁でも申し上げましたように、移行に関するリスクが少なく、一定の効果が期待できる地方独立行政法人化を選択する自治体が、最近多いと思われます。
相崎議員の御質問の趣旨が、経営形態の変更に対する手法の議論より、自立再建ならどのような抜本的な改革をするかということにあるのは理解しているつもりですが、内部改革としては、入院患者をふやし、ベッドの稼働率を上げること。そのために、医師1人当たりの受け持ち患者数を標準化すること。病診連携により、紹介率の向上を図ること。さらに、診療報酬の加算がある施設基準をクリアするなど、民間に負けない経営管理を行うこと。DPCの導入に当たって、適正な診療体制を確保を図ること等々の地道な努力を確実に実行するしかありません。
外部要因のみならず、内部的にも自治体病院には甘い部分があった、今もまだある。
しかし、病院は規模が大きいだけに、ちょっとした改革で結構な額の収入増、経費の削減を図れる、このような考えも抜本的改革の一つだと思います。そうした意味での抜本的改革を行い、現時点では自立的に再建を目指す考えで進めたいと思っております。
市財政に大きな負担をかけていることも、まことに申しわけなく思いますが、いましばらく県立を含む近隣自治体病院の動向にも注視しつつ、公立病院改革プランのスケジュールをリミットとして考えていくのが、現時点では、妥当ではないかと考えております。
地域連携型病院については、当院としてもその方向での病院づくりを目指しています。個性化、専門化は必要ですが、市民病院という性格上どうしても限界があり、規模縮小については、現在、内科医師不足で一部休床していますが、病院経営においては、また大学から医師の派遣を受けるに当たっても一定の規模が必要であり、診療所化した自治体病院にあすはないと思います。赤字企業がどこまで資本投入すべきかは、確かに難しい問題ではございます。しかし、スモールダウンをすれば、うまくいくという解決策でも今のところございません。
次に、平成19年度の経営健全化計画と決算の欠損金の乖離についてですが、健全化計画での5億2000万円に対し、決算は6億6000万円ですから、約1億4000万円の差が出ております。これは患者数が下げどまらなかったこと以外では、かつて病院に在籍し、市長部局で退職した職員の退職負担金が、計画時には十分想定できていなかったこと等によります。
平成20年度予算では、計画数字は2億2000万円の赤字に対し、2億4000万円弱の赤字予算なので大きな乖離はない状況です。ちなみに、この2億4000万円の赤字推計は、昨年11月ごろ予算編成時期での患者数と診療単価から、ほとんど機械的に推計したものであり、作為的な数字では全くございません。ただ退職者については、今年度も定年前の勧奨退職の申し込みが既に数件ございますが、退職手当及び退職手当負担金に係る誤差はやむを得ないものと御理解していただきたくと思います。なお、引当金の計上は無理ですが、会計処理上、退職手当金の平準化ができないか検討しているところでございます。
現在、策定している病院改革プランでは、数値の歳出根拠を明確にする必要があり、そのために経常収支比率、病床稼働率、紹介率、救急外来件数など、財務や患者の視点に立った業績評価指標を示し、それぞれ実現可能な数値目標を設定しながらプランを策定することとしており、それに合わせ経営健全化計画を見直していきたいと考えております。
また、第3次経営健全化計画は、コンサルによる医療圏分析や将来需要予測など外部環境分析とともに、どちらかといえば経費の削減、合理化中心の視点で内部環境分析をまとめたものですが、今回の改革プランは、さらに病院の方向性を示す病院ビジョンも明確にしながら、年1回の点検評価に対応できるものとし、今後の業績の向上につなげてまいりたいと考えておりますので、御理解と御協力をよろしくお願いいたします。
以上です。
地域医療体制整備推進班長(答弁)
私からは地域医療体制整備推進本部を設置したその成果と、今後の方向性について御答弁を申し上げます。
まず、昨年8月に本部が設置されてからの取り組みの成果につきましては、まず、第1点目として、昨年度、市民や医師等に対して地域医療ニーズのアンケート調査を実施し、加えて本市の1次救急を主に担っていただいております24時間在宅待機当番医制の協力医療機関へのインタビューを実施するなど、地域医療の実態や市立伊丹病院や医療に対するニーズを把握し、課題を明らかにすることができました。
2点目として、昨年10月に市内の医療関係者等からなる「伊丹市地域医療対策協議会」を設置し、地域医療体制の充実に向けて、喫緊の課題であります救急医療対策や医師確保策、病診連携、病病連携等について短期的、中長期的な地域医療体制を確保する施策等について協議を行ってまいりました。
3点目として、「伊丹市地域医療対策協議会」での検討結果を踏まえ、本年7月1日から24時間いつでも健康医療相談ができる、「いたみ健康・医療相談ダイヤル24」を開設できたことは、市民の医療不安の軽減や健康づくりに役立つものと考えております。また、救急の適正利用につきましては、広報等を通じて市民啓発に努めておりますが、さらに24時間健康・医療相談の利用促進を図ってまいりたいと考えております。
4点目としては、市立伊丹病院におきましては、医師不足から一部診療科を縮小するなど、市民の皆様に御不便をおかけしておりましたが、市長みずから医師の招聘に当たるなど、市を挙げて取り組んできました結果、この4月には関連大学病院から新たに病院事業管理者をお迎えし、また、医師の増員も図ることができ、市立伊丹病院の患者数も回復傾向にあるなど、明るい兆しも見えてまいりました。
次に、今後の推進体制につきましては、地域医療体制の充実の方向性として、地域全体で完結する地域完結型医療が求められていることから、市内の中核病院である近畿中央病院と市立伊丹病院を主体とした「中核病院提携検討委員会」を本年7月に立ち上げ、両病院の特色を生かした診療科連携や、両病院を中心とした病病、病診連携の方策などについて検討を進めているところでございます。
さらに公立病院改革ガイドラインに基づく市立伊丹病院改革プランを今年度中に策定するため、伊丹病院において組織されました改革プラン策定委員会に、市の方からも本部員である理事を初め推進班からも委員として参加し、現時点では経営効率化の視点から、安定した病院経営を目指した改革プランを策定中であり、市民から信頼される質の高い医療が提供できるよう努めてまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、市民が安心して暮らせる地域医療体制の充実を図るためには、伊丹病院だけでなく市全体として取り組むべき喫緊の課題であるとの認識をしております。
今後も伊丹病院と密接に連携し、さまざまな課題に対して迅速に対応してまいりたいと考えておりますので、御理解、御協力のほどよろしくお願いを申し上げます。
市長付参事(答弁)
私からは、市立伊丹病院に対する御質問のうち、財政基金からの貸し付けに関するお尋ねにお答え申し上げます。
市立伊丹病院の資金不足に対する財政基金に対する考え方についてのお尋ねでございますが、病院事業会計は医師不足や診療報酬の引き下げ等の影響により、平成18年度決算では8億8544万円、平成19年度決算では6億6303万円の純損失を計上し、経営状況が悪化をいたしております。
その結果、病院事業会計の資金不足を支援するため、財政基金から平成18年度に10億円、平成19年度に9億円を長期に貸し付け、平成20年度では4億円の長期貸し付けを予定しているところであり、その償還に関しましては、現時点におきまして、病院事業会計の経営健全化の観点から、地方公営企業法第17条の3の規定に基づき、一般会計から補助を行うことを想定いたしております。
財政基金から病院事業に対する貸し付けは、伊丹市財政基金の設置、管理および処分に関する条例第3条第2項の規定に基づきこれを行っているものでありますが、これを行わなかった場合、病院事業の資金不足額は、民間の金融機関からの一時借入金に頼らなくてはならず、当該借入利息の負担は最終的に市民の負担になることから、伊丹市全体の財政運営上、資金運用に支障を来さない範囲におきまして、病院事業の経営状況を踏まえつつ判断してまいりたいと考えております。
また、基金から病院事業会計への貸し付けは、地方公共団体の財政の健全化に関する法律における健全化判断指標のうち、将来負担比率の積算において負の要素として算入されることから、まずは病院事業みずからが国において策定した公立病院改革ガイドラインを踏まえ、病院事業経営の改革に総合的に取り組むことが求められているものと考えております。
本市の財政運営上、病院事業の経営の健全化を図ることは、健全で持続性のある自治体経営にとって大変重要であると考えておりますので、お尋ねの額と期間につきましても、こうした状況を総合的に判断し、十分検討した上で対応してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
理事(答弁)
私からは、下水道会計についての数点の御質問にお答えをいたします。
議員からも必要性と意義について詳細に御紹介をいただきましたが、下水道事業の地方公営企業法の適用については、平成21年4月から予定をしておりまして、平成18年度以降、これまでも本会議等で申し上げておりますが、本市の下水道事業は整備を主体とした時期から、施設の維持管理を主体とした事業運営にシフトすべき時期を迎えておりまして、持続的、安定的なサービスと事業運営を図っていく上で、現行の特別会計を地方公営企業会計方式に移行することによりまして、会計状況や財政状況が明確になり、また、使用料の算定についても適正に算定できること。市民への説明責任の面においても、よりわかりやすい情報提供ができることなど多くのメリットがありますことから、先ほど申し上げましたが、平成21年4月からの移行に向け、現在、鋭意取り組んでいるところでございます。
そこで下水道事業の会計処理に係ります御質問のうち、資本費平準化債に関してでございますが、議員御指摘のように、この制度は地方債の元金償還期間と下水道使用料として回収する算定期間、いわゆる下水処理施設の減価償却期間が異なっていることから、その期間差から生じる差額について起債できる制度でございますが、本市におきましては平成16年度の制度創設時より、資本費平準化債を活用し、今日に至っております。
御質問のこの資本費平準化債の平成18年度と平成19年度の借入額と、そのうち汚水に係る借入額でございますが、平成18年度の借入額は9億5000万円で、うち汚水分としては5億5180万円の借入額となってございます。また、平成19年度は9億5000万円を借り入れをし、うち汚水分につきましては6億3100万円ということでございます。
その積算方法につきましては、過去44年間にさかのぼり下水道事業が借り入れを行いました地方債発行総額を、全国の固定資産の耐用年数を当該資産の取得価格で加重平均して算出した年数の44年で除し、90%を乗じた額を当該年度の元金償還額より控除した額を限度額として借り入れができるものでございまして、この積算方法に基づきまして算出をいたしております。
次に、平成19年度決算におきます汚水に係る支払利息額及び充当した使用料についてでございますが、支払利息額といたしましては約10億5000万円でございます。この支払利息に充当いたしております使用料は約9億7000万円となっておりまして、この差が一般会計からの繰入金約8000万円となっております。
次に、昭和40年度から平成19年度までの汚水整備事業に係る地方債の発行額と、50年で割った減価償却に相当する額についてのお尋ねでございますが、借入総額は約450億円となっておりまして、これを単に50年で割りますと約9億円ということになりますが、この実質額につきましては、私どもの見込みでは、この9億円をやや下回るものと考えておりまして、具体的な額につきましては、現在精査をしているところでございますので、御理解のほどよろしくお願いを申し上げます。
相崎佐和子(2回目の発言)
それぞれに御答弁まことにありがとうございました。
まず、1点目の指定管理者制度についてでありますが、まず質問の趣旨といたしましては、申し上げておりますように、今の指定管理者に問題があったというわけではございませんし、また現在、非公募のところを無理やりでも公募にしろと申し上げているのではなく、また、文化を衰退させてよいと申し上げているわけでもなく、ただ、今回初めて指定管理の切りかえを迎えるというこの時期に、今までの3年間の管理運営の検証というのをやはりしっかりと行って、そして必要であれば、改善点を加えて切りかえをすべきというのが質問の趣旨でありました。
御答弁では、3年間の管理運営の検証についてはしっかりと行って、今の方向性を打ち出しているとのことでございました。
その検証方法に少し具体性がという点では、不明瞭感を感じないでもなかったんですけれども、しっかりと検証していただいているということですので、それを信じさせていただきまして、引き続きしっかりとお願いいたしたいと存じます。
それで1点、今後の指定管理者の業務評価についてでありますが、現在の評価は申し上げましたとおり、多少抽象的な基準を内部にて評価するという形でありまして、それに関しては御答弁でも、課題ということで認識しているという旨のお話でございました。
業務評価について明確な数字基準の設定等々というのは、困難な点もあるかとは存じますが、試行錯誤にはなっていくかと思いますが、より適切な評価の体制づくりということに向けて、より一層尽力していただきたいと、これは要望させていただきますので、お願いをいたします。
2点目の就学前の子供の施策についてでありますが、まずもって就学前の子供の施策、全体の総合ビジョンの設定というのを、本当にお願いしたいところであります。
現在検討しているものの、なかなか進んでいないのではないかと思われる、例えば公立保育所の民営化や公立幼稚園の適正規模、適正配置等々についても、今までの過去の経緯にとらわれ過ぎずに、就学前に子供全体の課題としてとらえていくと、そして検討し直すと、よりベターな方向性が見出せるのではないかと考えるところでもありますので、ぜひ就学前の子供全体の総合的な考え方、ビジョンを検討していただきたいと強く要望させていただきます。
それから幼保一元化の施設についてでありますが、これは私も含め、過去、議会でもたびたび質問が出ているところでありまして、その際、よく国の動向に注視しながらなる文言がよく出ておりました。
そして今、国のその動向というのが、かなり前向きな方向性を見せております。そのことからか、今回の議会の御答弁でも、今までの議会と比べて一番幼保一元化施設について前向きかなと感じるところでもありまして、非常にうれしく思っている次第でございます。さらに前向きに、推進をこれからも強く進めていただきますようにお願いいたします。
あと教育委員会とこども部との連携、総合部署ということでありますが、確かに平成18年度にこども部が誕生したばかりであり、恐らく今軌道に乗ってきておられるところであろうと存じます。総合部署に関しては今すぐ、ではというわけにはいかないであろうということも承知をしておりますが、ただ、方向性としてぜひ検討、研究等々を進めていただければと思っているところであります。
当然、教育委員会とこども部との連携ということについては、現在も取り組んでいただいていると聞きますが、より一層進めていただきたいと要望しております。就学前の子供の施策について、諸事どうぞよろしくお願いいたします。
そして3点目の市立伊丹病院の経営についてでありますが、まず、質問の趣旨といたしまして、これは決して病院を非難しようですとか、そういうものではございませんので、誤解なきようにお願いしたいと思います。
応援の気持ちからでございますが、まずもって現時点で、伊丹病院としてどのような方向性で進んでいくのかということを確認したかったというのがあったのですが、当面、自立再建で踏ん張っていかれる、頑張っていかれるとのことでありました。
それにもちろん異論はなく、自立再建できれば、それにこしたことはないと考えるところであります。ただ、それであれば今以上の改革、対策をしていただくことが必要かと感じるところで質問をさせていただきました。いろいろ具体的な案も御答弁いただきましたので、よろしくお願いしたいと存じます。
そして改革プランについては、実現可能な現実的な数値目標の設定をお願いしまして、そして今の経営健全化計画にも、そのプランに合わせて必要であれば修正を加える等々していただくことをお願いいたします。
それから財政基金からの長期貸し付けでありますが、これも1回目で発言しましたとおり、病院の再建を願って可能な限りの支援ということで、一定、長期貸し付けに関しては理解をするところでありますが、ただ、いつまでも、幾らでもというわけには、もちろん財政基金にも限りがありますし、そういうわけにはまいりません。限度額と期限のある程度のめどというのは、持っておく必要があるように思うところです。はっきりとした数値としては出せなくともめどを持って、十分にこの長期貸し付けに関しては留意していただくことをお願いいたします。
いずれにしましても、病院に関しては管理者さんのおっしゃるとおり、しっかりと支援もさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
そして4点目の下水道会計であります。これについては再質問をさせてください。
そもそも今回、微に入り細に入り数値を伺ったのは理由がございまして、そもそも下水道会計について、汚水は基本的に市民から徴収する使用料で賄うという算定基準を定めていますが、ただ、これに基づきペーパー上で計算をしてみた。これだけ市民から徴収すべきという算定額と実際に徴収をした実質額とに、差額があるのではということなのであります。この差額に関しては、詳細な計算方法により賄っていると聞くところでもありますが、いささか不明瞭な会計処理だと感じるところも否めません。
来年度は下水道会計は特別会計から公営企業会計に移行されて、会計方法も明確になるとのことであります。会計方法が明確になるのは当然歓迎すべきことですが、明確になることによって、今まで難しい会計処理方法で処理されていたその差額分が、ある意味きっちりと使用料に反映されて、我々が支払う下水道の料金が値上がりするのではないかという懸念を感じるところから、今回この質問をし、まず数値を伺ったところであります。
それで2点質問をさせていただくのですが、まず1点目は、これまでの差額の理由についてお教えください。先ほど御答弁いただきましたが、汚水の資本平準化債については、平成18年度5億5180万円、19年度は6億3100万円とのことでしたが、その差額の理由。そして起債利子について、19年度決算の汚水分の利子は10億5000万円、これに充てられるべき使用料徴収額の利子分は9億7000万円とのことですが、この差額の理由。そして減価償却費については、単純な算定額は9億円ですが、これより見込まれている額は若干下回るとのことですが、この差額の理由。これらをまずお教えください。
2点目の質問は、来年度以降の会計についてであります。
来年度以降の会計につきまして、1、会計方法が変わる来年度以降、汚水は使用料でという算定基準はそのまま継続をされるのでしょうか。2、そうすると、これまでの差額分はどのような会計処理方法になるのでしょうか。3、市民から徴収する下水道料金に、これらの会計方法の変更は影響があるのでしょうか。これらをお教えください。
以上、2回目の質問とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
理事(答弁)
再度の御質問につきまして御答弁をいたします。
まず、資本費平準化債でございますが、18年度は約5億5180万円に比べ平成19年度の6億3100万円、8000万円ほどの増ということになっております。汚水に係る借入額が8000万円の増ということになっておりますが、これは各年度により下水道事業債の借入額に変動があることや、さらに地方債の償還方法につきましても元利均等方式のため、地方債の償還当初は元金の償還額よりも利子の償還の方が多く、後年度になればなるほど元金の償還額が多くなり、利子の償還額が減少していくといったことでございまして、元金の償還額は平成18年度に比べ平成19年度は多くなっておりますことから、汚水に係ります平準化債の借入額が増加しているものでございます。
次に、汚水に係ります支払利子と充当しております使用料との差額、1億5000万円と1億7000万円でございます。これは一般会計からの繰入金ということを、先ほど御答弁させていただきましたが、一般会計が下水道事業会計に対して繰り出しできる臨時特例債等によるものでございます。
また、減価償却額につきましては、先ほど申し上げました単純に50年で割り戻しました9億円と、実質額とには差が生じて見込んでおりますのは、残存価格10%を控除した上で、耐用年数に応じた期間で減価償却してまいりますことなどから、差額が生じるものと見込んでおり、現在、その内容について精査をいたしているところでございます。
具体的な内容等につきましては、この10月中旬に予定をさせていただいております別の場においてお示しし、ご報告できるよう、現在、鋭意作業を進めておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いをいたします。 また、今回の会計方式の移行に伴い、直ちに市民負担の増額に結びつくのではないかとのことでごさいますが、下水道会計における基本的な考え方といたしまして、汚水処理に要する経費は、地方公営企業法の適用、非適用を問わず使用料で賄うものでございまして、従前よりこの基本的に考え方に基づき使用料を算定しておりますことから、地方公営企業会計の移行そのものにより、新たな市民負担が発生することはないものと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
以上でございます。
相崎佐和子(3回目の発言)
自席から失礼いたします。
下水道会計に関しては、未来永劫使用料が値上がりしないというのも難しいかと思うのですが、地方公営企業会計の移行によって、新たな市民負担が発生するということのないように、これは要望とさせていただきます。 以上で、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
以上