平成21年 第4回定例会(第6日6月19日)

相崎佐和子(1回目の発言)

 今回のテーマは、安心して産み育てられる環境づくりについてです。 
 私は現在、ごらんのとおり第2子を妊娠中でございまして、来月7月に出産を予定しております。そこで、これをせっかくの大きな機会ととらえまして、妊娠、出産を今回のテーマとさせていただきました。自分自身が実際に経験をしていく中で、もっとこんなふうになったらいいのにですとか、ここはちょっと足りないなと感じたところをテーマに、市民の皆さんからの要望や御意見も踏まえながら、生の声として質問、提案をしてまいりますので、お聞きください。 
 では、妊娠、出産、育児と進んでいく過程ごとに見てまいります。まずは、1、妊娠したらです。妊娠の兆候が見られましたら、医療機関に受診に行きます。そこで、正常な妊娠と確認されれば、お医者さんから自治体で母子手帳をもらってきてくださいと言われます。伊丹市の場合は、保健センターや各支所、分室などで交付されています。ここで渡されるのが母子健康手帳、いわゆる母子手帳です。こちらになります。余りごらんになる機会がないかなと思って、ちょっと持ってまいりました。健診の内容ですとか、生まれてからの予防接種、どれだけ受けたかとか、そういうことをたくさん書き込めるようなパターンになっております。そのほかにもらえるのが市からの情報のペーパーですとか、あとこういった各種団体からのいろんな情報の冊子、こちらがもらえます。あと、ちなみにこういったバッジももらえます。御存じの方も多いでしょうが、マタニティーバッジといいまして厚労省が定めたマタニティーマークがプリントされています。これを例えばかばんにつけている女性などがいらっしゃいましたら、妊婦さんでいらっしゃいますので、お気遣いの方をお願いします。 
 この母子手帳の交付時において2点、質問、提案いたします。 
 まず1点目、市オリジナルの独自の情報冊子をつくって配布してはどうかということです。妊娠、出産で私が驚いたことの一つが、各種の手続が非常に煩雑で、ややこしいということです。妊婦健診助成制度の申請や出生届の提出、出産育児一時金の申請、児童手当の申請、保険証の発行、予防接種などなど煩雑で、私もペーパーを読んだだけでは理解できずに、インターネットで調べたり、実際に何度も問い合わせたりしています。これらのことは自治体がかかわることが大半ですので、ゆえに伊丹市独自の詳しい情報冊子があれば非常に助かるところです。また、出産後は医療機関ですとか子育ての場など地域の情報がこれまた驚くほど必要になってまいりまして、そういった点でも指導の情報冊子というのはありがたいところです。 
 阪神間では、聞くと、宝塚や西宮や芦屋では、独自の情報冊子を作成して配っているということでした。伊丹市でも現在、こういった「子育て情報ぶっくすくすくちゃん」という冊子をつくっていますが、評価はできるものなんですが、課題として、妊娠期の情報がない、それから情報量が必要最小限である、また出生以降に配布をされるなどが課題として考えられます。 
 そこで、妊娠から就学前までの情報を網羅した、より情報の量を増加させた市独自の情報冊子を望むところです。また、自治体によっては、こういった冊子に民間企業などの広告を掲載して広告収入を得ているところもありまして、一つのアイデアかなと考えるところです。 
 そこで、伺います。市独自の子育て情報冊子について、今回の補正予算で85万円が上がっておりますが、冊子の内容はどのようなものなのでしょうか。また、交付するタイミングはいつでしょうか。母子手帳の交付時に渡すとともに、対象になる転入者にも必ず配布をしてほしいところですが、いかがでしょうか。また、今後の具体的なスケジュールはどうなっていますか。また、民間企業の広告掲載についての見解はいかがでしょうか。以上、お教えください。 
 母子手帳交付について、もう1点伺います。父子手帳についてです。これは父と子の手帳と書いて父子手帳でありまして、いわば母子手帳の父親版です。近年、注目を集めておりまして、独自で作成する自治体がふえています。母子手帳は、母子保健法に基づきまして自治体が交付することが義務づけられておりまして、様式もある程度厚労省で定められております。一方の父子手帳は、法律による義務づけはなく、様式も決まっておりません。名称は「父親ハンドブック」ですとか、「おとうさんといっしょ」などさまざまで、内容もオリジナリティーにあふれています。 
 具体的には、妊娠中のパートナーへの接し方や赤ちゃんの成長の過程やお世話の仕方などが紹介されておりまして、いずれも子育てを母親任せではなく、一緒に育てていこうという意識が深まるような内容になっています。この父子手帳は、平成7年、東京都発行を皮切りに、静岡や栃木では県として発行しておりますし、兵庫県内では神戸市須磨区、朝来市、養父市などが発行しております。そして、今月からは西宮市で配布を始められるということ。何でも市役所内のワークショップで若手職員から父子手帳の提案が出て、編集委員を立ち上げて作成を進め、このたび父の日から配布と聞いております。 
 この父子手帳は、直接的・短期的に数値的な効果が生じるものではありませんが、抽象的・長期的に大きな意義がありますし、財政的にも少ない予算で取り組めることも魅力であります。 
 そこで、伺います。父子手帳の作成、配布について市でも検討を望むところですが、見解をお教えください。 
 次に進みます。2、妊娠期間をよりよく過ごすです。妊娠中は、定期的に妊婦健康診査、いわゆる妊婦健診を受診します。回数はトータルで14回は最低限必要という目安です。金額は、妊娠は病気ではないという考えから保険は適用されず大変高額。1回の健診につき5000円程度かかりまして、血液検査があるときは1万5000円ほどかかります。トータルでおよそ10万は最低必要です。これらは、あくまでトラブルが全くなしでの基本パターンでありまして、トラブルが発生したり双子以上の場合などは、さらに費用がかさんでいくわけです。 
 このように健診料が大変高額なゆえに、妊婦健診を受診しないという人も存在しまして、そういった方が容体が急変した際に、搬送先が見つからずに、たらい回しになるという課題が生じているのは御存じのとおりかと思います。私も、第1子のときにはもちろん健診は受けたんですけれども、余りの高額に本当に驚きまして、これはみんな妊娠、出産をためらうなと、しみじみ実感したものでありました。 
 そこで、国では、ここ数年、この妊婦健診の助成を一気に充実させております。平成21年度予算では840億円が組まれまして、各自治体に補助金、地方交付税という2段階で入ってまいります。交付税部分で各自治体で助成額が異なっておりまして、伊丹市では現在14回分、最高額7万円という内容、さらに今回の補正予算では、最高額を9万8000円にアップする議案が出されています。 
 そこで、伺います。妊婦健康診査費助成制度について、上限を9万8000円にした理由、また対象期間と周知方法についてお教えください。 
 では、妊娠期間をよりよく過ごすの2点目に移ります。父親になる男性向けのセミナーの増加という点です。 
 現在、伊丹市ではマタニティー教室が実施されています。出産を控えた親が知識や情報を得るとともに、互いに交流を図ろうという場でありまして、2回コース、金曜日の午後に開催されています。私も参加したことがありますが、いろんなことが学べて、親になるという心構えが増したもので、いいものだなと思いました。この教室、実は配偶者の参加も可能です。未来のパパも参加は可能なんですが、実際は配偶者の参加はごくまれと聞きます。最大要因は、平日昼間の開催だと思います。金曜日の午後では、働く親は参加しづらい状況です。 
 また、ほかに伊丹では、年に1回、新米パパとママの育児セミナーというイベントを県健康財団と共催で実施をしています。こちらは土曜日の開催で、19年度は119組ものカップルが参加したそうです。しかし、年に一度の開催ですので、対象期間に外れてしまうカップルも多いところです。いずれにせよ、父親参加型のセミナーが少な過ぎるのが現状であります。最近では、男性も妊婦健診に一緒に行ったり、出産に立ち会う方が増加しています。私も健診に行きますと、必ず一、二組はカップルで来られている方を見かけます。もし未来の父親向けのセミナーがあれば、参加しようという男性は昨今きっと多いと思います。 
 そこで、伺います。父親になる男性が教室やセミナーがもっとあればと願うところですが、見解はいかがでしょうか。また、具体案として、現在の教室を土日開催にする、年1回の育児セミナーの回数をふやす、また新たな講座を開催するなどの検討はいかがでしょうか、お教えください。 
 次に、市立伊丹病院について伺います。 
 伊丹病院の産婦人科では現在、「助産師外来・院内助産」を実施しています。助産師外来とは、通常医師が行う妊婦健診を特にトラブルがない妊婦の場合は助産師が行う取り組みです。また、院内助産とは、医師ではなく助産師が赤ちゃんを取り上げることです。メリットは、最近、希望者が増加している自然な形での出産が可能でして、個室で家族に支えられながら、本人の希望する出産が可能です。もちろん何か異状が生じれば、医師にバトンタッチすることが可能です。 
 この助産師外来と院内助産は平成19年度にスタートしまして、始めた理由は、当時、産科の医師が3名のみで、1カ月の出産受け入れは20組のみで、出産の申し込みを断るケースも多く、そこで分娩の枠を広げたいという思い、またお医者さんの負担を軽減できればという思いから始めたということです。現在、全国でこの院内助産を実施している医療機関は43施設のみで、県内ではこの伊丹病院と神戸のパルモア病院のみ、非常に高く評価できるところであります。現在の件数は月に二、三件程度で、院内助産があるから伊丹病院を選びましたという方がふえてきていると聞きます。 
 実は私も、せっかくなので伊丹病院で出産を予定しておりまして、この助産師外来、院内助産もお願いしております。実際、助産師さんのきめ細かい対応に非常に満足をしておりまして、納得のいく妊娠、出産ができるものと確信をしております。ゆえに、この取り組みをより多くの方に知っていただいて、より活用していただきたいと望むところなのです。 
 課題は、周知不足、説明不足だと考えています。取り組み自体を知らないという対象者の方が多くて、説明する機会も乏しいという現状です。そこで、例えば伊丹病院での出産についての集団説明会を実施して、そこで説明をするですとか、もっと広くマスコミにPRをするですとか、ホームページでの情報提供を充実させるですとか、医師健診を受けていただいたときに連係プレーで紹介をしてもらうなどはどうかと考えるところです。 
 さて、伊丹病院について、もう1点伺います。産婦人科で実施している教室についてです。現在、産婦人科では「パパママクラス」、「パパクラス」、「マタニティー・ヨーガ」、「産後のベビーマッサージ」などの教室を実施されておりまして、私も先日、ヨガに参加し、リラックスをさせていただいたところであります。これらの教室は、市民病院で健診を受けている人のみが受講できるものと、外部からでも参加できるものの2種類があるんです。市民病院は地域の中核病院ですので、そういった意味でも、これらの教室をもっと広く外部の方、地域の方が参加できるようにできないものでしょうか。 
 特に、「パパクラス」は土曜日に開催をされています。この「パパクラス」を外部からの参加も可能にすると、先ほど提案しました父親参加型の教室が増加できます。またPR方法は、市内の公共施設や医療機関にチラシを置くですとか、可能なら広報紙に掲載をするなど工夫ができればと考えるところです。 
 そこで、まとめて市民病院について伺います。まず、助産師外来・院内助産について、開始からおよそ2年が経過した今、これまでの成果、現在の課題、今後の方向性についてお教えください。また、院内助産の情報提供とPRの方法について、改善策をお教えください。また、「パパクラス」などの教室について、外部参加も可能にし、積極的にPRをと望むところですが、見解をお教えください。 
 では、次に3、いよいよ出産に参ります。出産育児一時金の委任払い制度について伺います。出産にかかる費用は幾らくらいでしょう。ことしの厚労省研究班の発表によりますと、全国平均でおよそ42万4000円です。この出産経費には、加入の健康保険から出産育児一時金が支給されます。金額は35万円。医療機関が産科医療補償制度加入であれば38万円、そしてことし10月から平成23年3月までは、さらに4万円アップされます。期間限定での金額アップではありますが、30代半ばを迎えた団塊ジュニア世代の出産ラストチャンスのこの時期、評価できるところであります。 
 ただ、この出産育児一時金、気になるのは償還払い、つまり後払いということです。出産した後に申請をして、後に口座に振り込まれるという仕組みですので、実際、出産した家庭は、退院する際に出産費用の40万、50万何がしをひとまず支払わなければなりません。この費用が用意できずに、未払いのまま逃げてしまうケースも後を絶たないと聞きます。 
 そこで、伊丹市の国民健康保険では、委任払い制度が存在しています。申請をすれば、出産育児一時金は医療機関側に支払われる仕組みです。この制度を利用しますと、出産家庭は、退院の際に差額分のみ窓口で支払えば済みますし、医療機関としても費用の踏み倒しというリスクを回避できます。ぜひ利用を促進したい制度であります。課題は、認知度が低いことであります。知らない方が多いということです。そこで、例えば母子手帳交付の際に説明をする、また市内の分娩可能な医療機関に告知、PRを依頼するなどの方法はいかがかと考えるところです。 
 そこで、伺います。出産育児一時金について、市の国民健康保険の委任払い制度は、対象者の退院時の負担軽減や医療機関の未払いリスク回避に効果があり、利用を促進したいところですが、見解と、また利用促進の手だて、認知度の向上についてお教えください。 
 では、次です。4の出産後のフォローに参ります。「こんにちは赤ちゃん事業」と新生児訪問について伺います。 
 「こんにちは赤ちゃん事業」というのは、御存じのとおり生後4カ月までの乳児のいる全家庭を訪問し、相談や助言、情報提供を行って、支援が必要な場合には適切なサービス提供につなげるという事業です。当市では、19年度からの実施で、訪問のスタッフは民生児童委員さんです。経費は年間600万円、社会福祉協議会への委託となっておりまして、内訳は、経費の半分はプレゼントのバスタオル代で、あとは研修費ですとか、スタッフ交通費などです。国からは、ソフト交付金という形で補助がついています。 
 この事業、課題が3つあると考えています。まず1点が男性の民生児童委員さんの訪問です。訪問先の家庭によっては、面識のない男性の訪問に拒否反応を示すケースもあります。夫に仕事を休んでもらって対応したという話も聞きました。また、訪問する男性側も、精神的な負担を感じる方も中にはおられると聞くところです。もちろん男性の訪問がだめなわけでは全くございませんが、違和感や拒否感を抱く方が一定存在しているというのも事実であります。 
 2つ目の課題は、民生児童委員の負担の増加です。ただでさえ多くの活動を担っていただいている民生児童委員にこの事業も依頼をするのは、かなりの負担増加であります。実際に本当に大変ですという生の声を伺うところです。 
 3つ目の課題は、高度で専門的な育児相談が困難ということです。実際、生後数カ月という時期は、親はわからないことだらけで試行錯誤でして、求めているのは育児相談ですとか母体の健康相談なんです。しかし、専門家ではない民生児童委員さんの訪問というのは、大変ありがたいと感じこそすれ、高度な相談というのは難しい状況であります。 
 これらのことを考えますと、私は「こんにちは赤ちゃん事業」は、訪問スタッフを専門家である助産師や保健師に切りかえるのがベターではないかと考えるところです。厚労省の通達では、訪問スタッフについて幅広く登用することとされており、特に決まりはありません。阪神間では、伊丹と西宮のみが民生児童委員さんで、あとはすべて専門家の助産師、保健師、保育士が訪問しているとのこと。この件について市の見解は、地域ぐるみで育児支援をしていくというのを目的にしていまして、あえて民生児童委員の訪問と聞くところでして、その目的は十分理解するところでありますし、民生児童委員さんの御尽力には心から感謝するところであります。がしかし、抱える課題を考えますと、助産師、保健師、すなわち専門家の訪問がよりよいと私は考えるところです。 
 また専門家への切りかえのメリットがもう一つありまして、新生児訪問と事業を一括できることです。この新生児訪問というのは、希望があった新生児のいる御家庭に助産師か保健師が訪問しまして育児相談を行うという事業です。「こんにちは赤ちゃん事業」との違いは、新生児訪問が母子保健が目的で、専門家が訪問する。「こんにちは赤ちゃん事業」は、児童福祉が目的で、訪問は非専門家でもオーケーと。法律も、それぞれ母子保健法11条、児童福祉法6条に基づいてまして、おのおの法的根拠や目的が違いますので、伊丹市でも別々に実施をしているところです。がしかし、実際には、いずれも赤ちゃんのいる御家庭に訪問をするということで活動内容が似ておりますので、両事業を一括して行っている自治体が多い現状であります。 
 近隣でも、川西、芦屋、猪名川などでは一括して行っておりますし、東京都では両事業を連携・協働させるというガイドラインをことし3月に発表しています。伊丹市でも一括化をすると、先ほど申し上げた課題が解決できるとともに、経費削減にもつながりますし、メリットが多いと考えます。個人的にも、その形の訪問の方がありがたいかなと感じるところです。 
 そこで、伊丹市でも「こんにちは赤ちゃん事業」の訪問スタッフを専門家に切りかえ、両事業を一括するのが総合的にメリットが多く、望ましいと考えるところです。 
 新生児訪問について、もう1点伺っておきます。訪問スタッフの体制強化についてです。現在、伊丹の新生児訪問のスタッフはほとんど高齢の女性です。70代ですとかと伺うところです。もちろん御高齢のメリットも多く、豊かな経験による充実した育児相談が可能です。がしかし、訪問先の家庭からは、話が合わないですとか、アドバイスがちょっと一昔前の育児方法で、ぴんとこなかったですとか、働きながらでの育児に否定的なことを言われて、逆に悩みが深くなってしまったなど聞くところであります。 
 伺うと、スタッフの定期的な研修などは行っていないということです。育児や保健に関しては概念の変遷もあるゆえ、基本的な内容については訪問スタッフが共通認識を持っていくことは必要ではないかと考えるところです。そこで、例えば利用者アンケートをきめ細かく実施して課題の把握に努めたり、定期的に研修を実施するなど充実させてはどうかと考えるところです。 
 そこで、まとめて伺います。まず「こんにちは赤ちゃん事業」について、実施からおよそ2年が経過した今、成果と課題をお教えください。また、訪問スタッフを専門家に切りかえ、新生児訪問の事業と一括してはと考えますが、見解はいかがでしょうか。また、新生児訪問については、利用者アンケートや研修を充実させ、事業の効果向上を願うところですが、いかがでしょうか、お教えください。 
 以上、1回目の質問といたします。


こども部長(答弁)

 私から、御質問のうち情報冊子と母子手帳、「こんにちは赤ちゃん事業」についてお答えをいたします。 
 まず、子育てに関する情報冊子ですが、一言に子育てと申しましても、妊娠、子供の誕生、発育、就学前、就学といった節目ごとに届け出や手続が必要で、それぞれの段階で適用される給付制度、医療制度があり、またさまざまな行政サービスの提供を受けることができます。これらに関する情報は膨大な量で、分野も多岐にわたることから、市民の皆さんが全体を把握するのは困難な状況にもございます。 
 そこで、現行の「子育て情報ぶっく」の内容を全面的に見直し、子育てに関する情報を充実させ、系統立てて時系列に整理をし、また目的ごとに集約した情報冊子に改訂して、子育て中の御家庭を対象に配布したいと考えておりまして、この6月補正予算案に所要の経費を計上させていただいております。 
 内容につきましては、妊娠期から子供の就学時までを中心に、折々に必要な届け出や手続、適用される制度、受けられる行政サービス、利用できる施設や事業、役立つ豆知識など、子育て家庭の日常生活を想定しながら子育て全般に関する情報を網羅したいと考えておりまして、補正予算案を議決いただきました後に、速やかに作業を進めてまいりたいと考えております。 
 冊子を配布するタイミングにつきましては、できるだけ早い時期、議員御提案のとおり、母子健康手帳の交付時に合わせて配布するのがよいのではないかと考えておりますので、今後、関係部局とも協議調整してまいります。また、他市から転入された方に転入の届け出時に対象世帯に配布したいと考えております。民間企業の広告掲載につきましては、メンテナンスコストの軽減にも一定の効果が見込めますことも考慮して、導入の可能性を検討してまいりたいと考えております。 
 続いて、父子手帳に関する御質問にお答えいたします。 
 父子手帳につきましては、父親となる男性にパートナーの出産や、これからの育児参加に関心を持ってもらえるように動機づけ、啓発することを主たる目的として、一部の自治体で配布しているもので、その内容は、妊娠中のパートナーへの配慮、妊娠や出産に対する支援の仕方、乳児・幼児への接し方、育児方法、子供とのスキンシップのとり方などについての一般的な情報を掲載したものであります。 
 これらにつきましては、母子健康手帳と重複内容も多いため、父子手帳として別冊とする意義や効果があるのかどうか、子育ての情報冊子に網羅すべきではないか、ホームページへの掲載のみで対応できないか、あるいは子育て情報冊子とは異なり、掲載する内容が一般的な情報であるのに、市が独自に作成する必要があるのか、市販の汎用品を活用できないか等々について検討を要するものと考えておりますので、御理解を賜りますようお願い申し上げます。 
 次に「こんにちは赤ちゃん事業」に関する御質問にお答えいたします。 
 まずは、この事業の運営におきまして、各家庭への訪問スタッフが民生委員・児童委員であることによる諸課題を踏まえ、訪問スタッフを助産婦や保健師などの専門家にしてはどうかとの御質問でございますが、議員御指摘のような民生委員・児童委員の皆さんへの御負担を初め、訪問スタッフに関する諸課題につきましては一定認識をいたしております。 
 しかしながら、それよりも各家庭の状況が日々刻々と変化する中、家庭を取り巻く環境や子供の成長などに応じて適時的確に対応していくためには、訪問時だけの一時的な相談では不十分であると考えます。 
 核家族化や女性の社会進出が進む中、地域において人と人とのつながりが希薄になり、身近に相談できる人や協力してもらえる人が少ないことにより、育児不安に陥るケースがふえてきていることから、本事業においては、訪問の場における高度かつ専門的なアドバイスよりも、むしろ日常継続的な相談体制や見守り体制を構築することが大切であると認識しております。 
 それぞれの地域で最も身近な存在である民生委員・児童委員が各家庭を1軒1軒訪問していただくことによって地域とのつながりがより密接になることを最も重要視しており、このような身近なつながりが児童虐待を初め不健全な環境から子供を守るセーフティーネットになるものでありまして、地域における子育て支援の実行モデルではないかと考えております。 
 特に、児童虐待におきましては、発生予防から早期発見、早期対応、さらには虐待を受けた子供の保護、そして自立支援に至るまでの見守りなど切れ間のない総合的な支援体制を整備・充実していくことが必要でありますが、そういった一連の取り組みの中で、特に地域の身近なつながりによる発生予防や早期発見、早期対応の仕組みとして、現在の手法による「こんにちは赤ちゃん事業」の担ってる役割は非常に大きいと考えております。 
 議員御指摘の専門性の確保につきましては、民生委員・児童委員が訪問され、面談した結果、専門的な相談事や質問がある場合には、必要に応じて児童ケースワーカーや家庭相談員、保健師等の専門的知識を要する職員が状況に応じて訪問することにより対応いたしておりますので、何とぞ御理解を賜りますようお願いいたします。 
 次に、新生児訪問との一元化についての御質問でございますが、新生児訪問につきましては、母子保健の観点から、乳幼児のいる家庭を対象として必要な保健指導等を行うことを目的として実施している事業でございます。双方とも新生児がいる家庭へ訪問するといった事業ではございますが、先ほど申し上げましたとおり、児童虐待防止対策の観点からは、地域における日常的な相談体制や見守り体制の構築が不可欠であり、そのためには、現在の手法を継続していく必要があると考えております。 
 今後とも、民生委員・児童委員との綿密な連携のもと、本事業を適切に展開する中で、子育て、子育ち中の親子が地域の一員として地域の見守りや支え合いの中で成長していけますように、地域住民が主体となった子育て支援活動が進められる環境を整備し、安全・安心な子育てのできる地域づくりを目指してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。 


健康福祉部長(答弁)

私から、妊婦健康診査費助成制度、そして父親になる男性対象の講座、そして新生児訪問の3点についてお答えいたします。 
 初めに、妊婦健康診査費助成制度についてでありますが、近年、出産年齢の上昇等により健康管理がより重要となる妊婦が増加傾向にあるとともに、経済的な理由等により妊婦健診を受診しない妊婦も見られることから、母体や胎児の健康保持を図る上で、妊婦に対する保健指導及び妊婦健康診査の重要性と必要性が一層高まっているところであります。平成18年より兵庫県の妊婦健康診査費補助事業が始まっておりますが、本市におきましても妊婦健康診査費の助成制度を開始してまいりました。 
 さて、平成20年度における助成制度につきまして所得制限を設け、妊婦健診5回分、助成費用3万円を上限といたしておりましたが、安全・安心な出産を確保するための妊娠期間中の望ましい健診回数は14回程度必要とされており、国の方針を受けて県の補助制度が平成21年に拡充されることになり、本市におきましても、21年度当初から妊婦健診14回、助成費用7万円までの拡充を進めてまいりました。また、経済負担を軽減するため、母子健康手帳発行時に兵庫県内の医療機関等で使える助成券方式とし、あわせて里帰り出産などで助成券が使用できない医療機関等を受診されてる方については、償還払い方式で対応するとともに、従来あった所得制限の撤廃を行いました。 
 年度当初における助成費用につきましては、妊婦健康診査における基本的な診査項目を医療機関等が実施したときの平均的な単価であります5000円をベースとして、14回分を乗じたものになっておりますが、妊婦健康診査が従来の健康な妊婦を対象に妊娠の経過と胎児の成長、発育経過を観察するとしたものから、胎児の管理に焦点が当てられるようになり、周産期管理の徹底を図る目的として、妊婦が受ける検査項目は増加してきており、基本的な診査項目に加え、子宮頸がん検診や超音波検査などの医学的検査を含めた妊婦健康診査助成費用として兵庫県が標準額としております9万8000円まで上限額を拡充するべく、今議会に補正予算をお願いさせていただいているものであります。 
 時期につきましては、本年4月に遡及して実施していくこととしております。これにより、おおむね自己負担がなく、妊婦診査を受けることができるのではないかと考えております。今回の制度の拡充に関する周知方法につきましては、該当される方への個別通知等を行って周知してまいりたいと考えております。また、国の助成制度につきましては、平成23年度以降の方針が決まっておりませんが、本市といたしましては、この制度が継続できるよう国に要望する等、働きかけを行ってまいりたいと考えております。 
 次に、父親になる男性対象の講座についてでありますが、現在、妊婦さんを対象に1コースで2回のマタニティークラスを毎月金曜日の午後に実施しており、父親も参加可能な講座としております。また、父親を中心にした内容のセミナーといたしましては、平成16年度から兵庫県健康財団と母子衛生研究会の共催で、伊丹市医師会や伊丹市助産師会等の後援のもと、新米パパとママ向けの育児セミナーを年1回、土曜日の午後に開催しております。しかしながら、議員御指摘のとおり、育児セミナーにつきましては、年に1回の開催のため期日が限定されてしまい、受講機会がない方もおられます。 
 男女を問わず積極的な育児参加を推進していくためには、妊娠期間中から母親となって子供を育てるという意識の醸成や子育てに必要な知識、情報を得ることにより、妊娠期間中や妊娠後に慌てることなく子育てができるという自信をつけることが必要であり、男性にとっては、妊娠、出産が母体に与える影響と妊婦の気持ちの変化を知るとともに、父親としての心構えを育成し、積極的な育児参加の気持ちを育てていくことが大切であります。より多くの方が積極的に講座を受講していただくためには、受講しやすい曜日や時間の設定、また回数も含めて今後検討してまいりたいと思いますので、御理解賜りますようお願いいたします。 
 次に、新生児訪問についてでありますが、本市では、訪問による保健指導を健康福祉課の職員と伊丹市助産師会と協力し、実施いたしております。助産師会会員である4人の助産師さんに訪問指導に携わっていただき、担当地区を決めて訪問指導に取り組んでいただいております。助産師の方が新生児訪問を実施するに当たっては、事前に日本助産師会が開催する母子保健指導者研修の受講が必須であると聞いており、現在、本市で訪問活動をしておられる助産師さんは全員この研修を受講していただいております。 
 御指摘いただきました最近の子育て事情や育児方法について、スタッフの共通理解は欠かせないことであると認識いたしております。訪問指導を受けられた方からの評価につきましては、現在は実施しておりませんが、価値観の相違などにより不安感を残したまま訪問指導を終えることのないよう、市民の皆様の声をよく聞き、よりよいサービスの提供を行い、子育て支援の一助となるよう取り組んでまいります。 
 新生児訪問を行う対象者は、母子健康手帳交付時にお渡ししている出生連絡票を提出していただき、希望のあった方に訪問指導を行っております。最新の新生児訪問の実績といたしましては、年間約400件となっております。今後、事業を実施していく上で、よりよいサービスの提供ができるよう、スタッフの確保、研修の実施、保健師の派遣なども含めまして検討してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。 
 次に、国民健康保険事業における出産育児一時金の委任払い制度の利用促進についてお答えいたします。 
 出産育児一時金につきましては、被保険者の出産に関し、総体的必要給付とされており、国民健康保険の場合は条例のよりその支給を行うものとされております。支給基準額は、健康保険法等に合わせ、近隣各市におきましても35万円の給付となっております。 
 なお、平成21年、本年21年1月1日、産科医療補償制度の創設に伴い、同制度の創設以降に産科医療補償制度に加入する分娩機関での出産につきましては3万円増額され、出産育児一時金は38万円となっております。 
 また、現在、出産に係る被保険者などの経済的負担を軽減し、安心して出産できるようにするため、本年10月1日から23年3月31日までの間の出産につきましては、緊急の少子化対策の暫定措置として、出産育児一時金の額を4万円増額する健康保険法施行令等の一部を改正する政令が本年5月22日に公布、施行されております。 
 今回の改正の一環として、被保険者等が窓口で出産費用をできるだけ現金で支払わなくても済むようにすることを目的として、出産一時金を保険者が支払い機関を通じて医療機関等へ直接支払う制度を本年10月1日から支給額の増額にあわせ実施することとされております。 
 本市におきましては、現在、他市に先駆けて出産費用を退院時に現金で支払わなくても済むよう、平成14年度より出産育児一時金の委任払いを実施いたしております。委任払いにつきましては、出産育児一時金受領の権限を医療機関に対し委任した旨の委任状を添えて本市に支給申請されたものを受理後、医療機関への振り込み手続をする旨の決定通知を交付します。被保険者は、その通知書を医療機関窓口に提出することで、退院時に出産育児一時金に相当する現金の支払いが不要となるシステムであります。 
 本年10月1日から実施されます医療機関への直接支払い制度につきましては、本市におきましても、出産育児一時金4万円の引き上げとともに、国民健康保険運営協議会にお諮りし、本年10月1日からの実施に向け、来る9月議会に条例の改正をお願いさせていただく予定としております。 
 いずれにいたしましても、従来どおり、出産後に被保険者が市の窓口で出産育児一時金の支給申請を行うことは法令上妨げられるものではありません。10月1日からの直接支払い制度の周知に関しましては、市広報等で周知をしてまいりますので、御理解賜りますよう、よろしくお願いいたします。 


病院事務局長(答弁)

私から、妊娠期間をよりよく過ごすの御質問のうち、市立伊丹病院に関する御質問にお答え申し上げます。 
 まず、助産師外来・院内助産の成果と課題及び今後の方向性についてのお尋ねですが、助産師外来・院内助産の開設経緯につきましては、議員御案内のとおりでございまして、平成19年4月に助産師外来を、また、同年6月に院内助産を開始いたしました。助産師外来につきましては、先を見越した保健指導ができるようになり、一方通行になりがちな指導が相手の望むこと、意向に沿う形の保健指導ができるようになりました。 
 また、院内助産につきましては、現在はより自然な分娩を家族とともに味わいたいという希望により、院内助産を選択するケースがふえてきております。ちなみに、院内助産によります出産件数は、開設以来49件となっております。 
 また、当院のような総合病院内では、医師との信頼関係及び連携もしっかりしておりますので、ハイリスク分娩につきましても、医師と対等な立場で議論をしながら受け入れ準備を整えることができるようになり、助産師のやりがい感が高められ、専門職としての自覚と責任が生まれてきております。 
 次に、助産師外来・院内助産についてのPRが課題ではないかとのお尋ねですが、院内掲示、病院ホームページに加え、エフエムいたみ、またごく最近ですが、地域医療体制整備推進班が発行しましたリーフレットなど、機会あるごとに院内助産の紹介を行ってまいりました。今後は、院内助産の体験者の生の声を中心に、「本院ホームページの更新」、「まちの情報誌への掲載」、「院内助産、医師介入分娩」のパンフレットの作成などを検討してまいりたいと考えております。 
 最後に、産婦人科主催の教室に外部参加をとの提案ですが、現在「マタニティーヨーガ」、「赤ちゃんマッサージ」は、院内外にとらわれず予約受け付けをしておりますが、「パパママクラス」及び「パパクラス」は、院内で出産される方を対象にした教室でございます。しかしながら、本院では、地域の中核病院として積極的に地域に情報発信していくという観点から、市民対象の教室も講演会など開催に取り組んでいるところでございますので、議員御提案の「パパクラス」など産婦人科主催の教室の外部参加につきましては、ニーズ調査を行い、検討してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。


相崎佐和子(2回目の発言)

それぞれ御答弁をいただきました。残念ながら時間がございません。御答弁いただいた内容につきまして、今回は一定理解をさせていただきました。提案、要望させていただきました内容をしっかりと進めていただければと思っておりますので、お願いします。 
 先日、厚生労働省から昨年の合計特殊出生率が発表されました。1.37ということで、3年連続の上昇、前年度0.03ポイントアップということでありました。アップといいましても、昨年から全国で1300人ふえただけなのでありますが、一応、減少には歯どめがかかっている状況です。これは、国が少子化について対策を講じ始めたことが一因ではないかと私は感じているところです。とはいえ、財源的にはまだまだで、日本のGDPにおける子育て関係への財源投資は0.8%、ほかの先進国に比べて子育て支援にかけるお金が非常に少ないというのは有名なところですが、それでも、前向きな機運というのは感じるところです。 
 初代の少子化担当大臣の猪口邦子さんはおっしゃっていましたが、少子化対策に特効薬はなくて、財源を充てて多くの施策を講じて、本気度を示すことしかないと。なるほどなと思いました。では、伊丹市の本気度というのどうなんでしょうか。私は、これからの伊丹市の方向性としては、子育て、教育、医療、福祉が充実したまちにしていくのが一番いいのではないかと考えています。 
 そういう意味で、子育て支援に力を入れることは伊丹の発展にとって大きなポイントになると考えています。では、現状はどうかといいますと、私は、前向きな方向性にはありますけれども、まだまだかなと感じています。市民の声も、伊丹は子育てしやすいまちかと聞きますと、普通かなというようなお答えをよく聞くところです。悪くないけれども、よくもないかなというところです。子育てしやすいまちに向けて、さらに本気で取り組んで本気度を示していただきたいと、それが市の発展に必ずつながると私は考えております。 
 ほかの自治体でも、子育てに本気度を示して効果を上げているところがたくさんありますので御紹介したかったんですが、少し時間がないようです。例えば島根県の海士町では、結婚祝い金ですとか出産祝い金、4人目が生まれると100万円を渡されるということです。児童生徒が海士町へ転入したら5万円を支給するですとか、そういうことをしまして出生人口が2倍以上になったというところもありますし、都心部でも東京都北区では、子育てしやすいまちというのをメーンテーマにして取り組んでいまして、1歳の誕生日を区主催でバースデーパーティーを行うですとか、育児サービスの無料券を渡すですとか、ゼロ歳と、あと3歳児にも絵本をプレゼントをするなどの取り組みを進めております。これらの例が伊丹市にすべて当てはまるわけではございませんが、見習えるべき点は多いかと考えます。 
 伊丹市がより発展をするために子育て支援に力を入れていただき、本気で取り組み、本気度を示していただきたいと願っております。強く要望をいたしまして、発言を終わります。7月末に出産をいたしまして、よりパワフルになって、また9月議会に戻ってまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。これで発言を終わります。 


END